学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学科
フォトボイスから被災者視点を学ぶ
地域福祉論Ⅱの授業で、米国ミシガン大学ソーシャルワーク大学院のDr,Yoshihama教授をお招きして、被災地の女性たちの視点を写真と声で集めた「フォトボイス」について学びました。
「フォトボイス」は、1990年代にミシガン大学のDr, Caroline WangとDr,Marry Ann Burrisによって開発された参加型アクションリサーチの方法で、Dr,Yoshihamaは、「フォトボイス」を活用して東日本大震災で被災した女性たちとともに、10年以上研究活動を行っています。
学生たちは、長期的な被災者支援が求められること、報道とそこで生活する住民視点に差があること、被災地でジェンダー差による課題が生じたこと等、現実の写真と声より学ぶことができました。
さらに、ソーシャルワーカーがフォトボイスを活用して被災者を支援することは、自らの困りごとを言葉で表現しにくい方々を守り、その気持ちを受容共感することに役立つこと、そして、それらを言葉にして発信するエンパワメントや、不足する支援や政策を批判的に見て、新しいサービス開発や政策を提言する「ソーシャルアクション」につながることを、考える場となりました。
社会福祉士・精神保健福祉士養成課程には、災害支援が「地域福祉」だけでなく、「社会福祉の原理と政策」や、「ソーシャルワークの理論と方法」等で取り上げられています。災害支援にソーシャルワーカーが取り組むとき、そこで生活する住民視点に立った支援の大切さを、学生たちは学びました。
“Photo Voice Project-Japan”ウェブサイトより、写真を紹介します。写真の「Voice」は、引用先サイトの”展示Exhibition“→”再生再建Revival”をクリックしてご覧ください。
(文責:神山)
学生の感想
「今回初めてフォトボイスについ知り、災害時や自身の経験を社会に向けて発信して地域課題としての認識や支援に繋げていくというアプローチを学んだ。
特にフォトボイスの紹介を見て実際に仮設住宅や被災地で暮らす人々の声や訴えと、政府が出している声明とは正反対の光景や声が多いという印象を受けた。震災の写真を見る機会はこれまでもあったが、一部を切り取っただけではそこで暮らす人々の生活状況や心情を捉えることは難しい。被災者の方が実際に撮影した写真と率直に感じていることを“声”と共に届けることで初めて実態や現状が表出し、生活課題も浮かび上がってくるのだと思う。
地域住民が失った日々の暮らしや居場所、心の傷に対してもっと寄り添ってケアしていく必要があり、ソーシャルワーカーとしては弱い立場に置かれている人の気持ちや声をきちんと受け止め、汲み取った上で社会に働きかけていかなければならないと感じた。」
(市川 瑠菜)
引用先:Zenfolio | PhotoVoice Project – Japan
「東日本大震災の発生当時、私は小学校1年生だった。震源地からは距離があり、被害は停電ほどで済んだ。そのため、平穏期までには時間はかからなかった。しかし、今回紹介された写真と声を聞いて、一度背負った心の傷がなくなることがないと感じた。今回写真を見たことで、実際の現地ではどのような状況で、どのような支援が必要だったのか考えることができた。近い将来関東大震災並みの大地震が発生すると言われているが、これらの経験や結果に基づいて日々準備をすることが、私たちが今すぐにできることではないかと考える。」
(安部浩武)
「しぶとく、何度でも」
引用先:Zenfolio | PhotoVoice Project – Japan