学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

哲学・宗教文化コース

1年生春学期の授業の紹介

前回の記事では「哲学」の模擬授業をご紹介しました。
本コースは「哲学」(西洋哲学・東洋哲学)と「宗教文化」の2つの学びから構成されています。

では、「宗教文化」の授業はどんな感じなのでしょうか。
春学期の授業「宗教文化論」から小ネタを1つご紹介します。

この授業では、アニメ、ゲーム、映画、スポーツ、音楽などに宗教が影響を与えてきたことを知り、これといった信仰をもたない人たちも、実は宗教に大きくかかわっているのだということを学びました。

たとえば1966-67年に制作された「キングコング」というアニメがあります。このオープニングソングは私(=教務主任)もよく口ずさんだのですが、こんな感じです。 

(ウッハウハウハウッハッハ ウッハウハウハ ウッハッハ)
大きな山をひとまたぎ キングコングがやってくる
恐くなんかないんだよ
キングコングは友達さ
火山も津波も恐竜も キングコングにゃかなわない
戦えキングコング ぼくらの王者

皆さんのご両親にもご存じの方がいらっしゃるかと思いますが、このアニメは日米合作で、アメリカでも放映されていたことはあまり知られていないかもしれません。
そのアメリカ版の方もオープニングソングがあるのですが、アニメ(絵)は同じなのに、つけられている曲が全く違います。日本語に訳すとこんな感 じです。

 キングコングの名前を君も知っているだろう
キングコングの名声を君も知っているだろう
キングコングは人間の10倍の大きさだ。
ある日、危険を知るには幼すぎた一人の少年が
この巨大で恐ろしい未知の存在と友だちになった。
そして彼らの家である島で彼らが送った生活は、伝説になった。

 いかがいかがでしょうか。日本版の方は、キングコングが主語であり、キングコングは僕らの王だと讃え、人間とキングコングの距離が近いのですが、アメリカ版の方はキングコングに対し距離をおいて見ている感じがします。
また、日本版ではキングコングは「恐くない」と言っていますが、アメリカ版は「恐ろしい未知の存在」と描写しています。
同じアニメなのにここまで違うのは、文化の違いがあるからで、その違いのもとはキリスト教と日本の伝統宗教の違いからきていると見ることができます。
日本では動物も神として崇めることがありますから、キングコングを人間の王とみなしても違和感ないのでしょうが、キリスト教圏ではそれはふつうはない発想なのでしょう。
曲調も全く違い、日本版は主人公の男の子の声(女性の声優)、アメリカ版は大人の男性の合唱です。
キングコングの声も、日本版は「ウッハ、ウハウハ」とコミカルですが、アメリカ版では野生のナマの雄たけび調です。
(ネットで探してみてくださいね)

アメリカのアニメでも今公開の「ヒックとドラゴン」のように、巨大な怪物的存在と少年が友達になる作品はないわけじゃないんですが、同じアニメにこれだけ違う歌がついているというのは興味深いところです。

また、これに関係することでは、1年生の中に「スーパーマンやバットマンは人間サイズなのに、ウルトラマンは巨大なのはなぜか」という問いをたてて、やはり背後の宗教的世界観の違いからレポートした人がいました。
これはとてもセンスのある「問いかけ」だと思います。
とくにアニメや特撮のファンではない人も「そう言われてみれば、たしかにそうだね。なぜなんだろう?」と思わず知りたくなる問いだからです。
こういった身近な「疑問」や「謎」から入っていくのが、このコースの学びの特徴です。

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