学部・大学院FACULTY TAISHO
哲学・宗教文化コース
世界を知る、日本を知る
暦の上では立秋ですが、夏真っ盛りの暑さです。
今日は星野先生からのメッセージです。
「哲学・宗教文化コースの専任教員の星野英紀です。
私の専門は宗教学です。
宗教学とは古今東西の宗教を比較研究します。
いまマスコミを賑わせている宗教にイスラームがあります。
しかし世界を見渡してみるとイスラーム教徒に限らず、世界には信仰に熱心な人びとが沢山います。
日本にはそうした人たちが少ないので、世界も同様かと思うと、それは大間違いです。
欧米でも、アフリカでも、アジアでも、信仰している人の数の方が、していない人の数よりずっと多いのです。
自分で信仰するかしないかは別として、世界の人びとの生き方、社会や文化と宗教のつながりを勉強することは、グローバル化時代にとても大切なことだと、私は強く思っています。」
……というお話ですが、世界には信仰に熱心な人々がどのくらいいるのか、確認してみましょう。
2000年に行われた「世界価値観調査」に、「自分を信心深いと思うか」という質問項目があります。
回答を寄せた国は60カ国。いくつかピックアップしますと(単位は%)、
国名 | 信心深い | 信心深くない |
---|---|---|
日本 | 23.1 | 52.0 |
韓国 | 30.8 | 32.7 |
アメリカ | 82.0 | 15.1 |
ペルー | 86.2 | 10.7 |
イラン | 82.3 | 3.1 |
エジプト | 98.4 | 1.3 |
南アフリカ | 82.4 | 13.5 |
イギリス | 37.2 | 47.7 |
イタリア | 83.2 | 11.2 |
ロシア | 61.4 | 26.0 |
(『世界60カ国価値観データブック』より抜粋)
たしかに、世界には信心深さを自認している人が大勢いるようです。
「信心深い」人が日本より少ないのは、中国の「13.7」だけです。
もっとも、日本には謙虚な人が多くて、自分で自分のことを「信心深い」とはあまり言わないのだ、という解釈もできますね。
しかし、「信心深くない」という人の数も日本は高く、60カ国中第3位です(2位は中国55.3、1位はベラルーシ58.9)。
さて、本コースの目標は、皆さんに対して、こういった数字を示して、「あなたも信心を持ちなさい」とうながすことではありません。
(よく誤解されるところですので、ハイライトしました)
むしろ、
「なぜこんなに違うのか?」ということを歴史的に学んだり、
「このような違いは、今後の私たちの生活に、どのような影響を及ぼす可能性があるのか」ということを具体的に学んだり、
「そもそも、人はなぜ信じたり信じなかったりするのか。信じるとはどういうことなのか」を哲学的に追究したりしていきます。
ひと口に「欧米」といっても、表のように、宗教に対する感覚はずいぶん違うものです。
なぜその違いが出てきたかを歴史的に探ってみる、というように、学ぶ目的をはっきりさせて、まず興味をもつことを重視するというのが、
本コースのスタイルです。