学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

哲学・宗教文化コース

ドーハで見たイスラム社会(1)

暑い夏の後の暑い秋もやっと終わったかと思った先週、私(本コースの教務主任)は10月でも日中35度まで上がるカタールの首都 ドーハ に行ってきました。
宗教間対話会議という国際会議に参加するためでした。

カタール(地図上のKatar)はとても小さな国(秋田県くらい)ですが、石油産出国のため、このところ経済発展が著しく、高層ビルやホテルを次々と建て、国際会議を開いて世界中から人を招いているのです。
2022年にサッカー・ワールドカップを招致しようとしている国の1つでもあります。

Politische_Asien-Karte.jpg

                                                 (GNU)
実は、宗教文化の授業を担当している私も、アラビア半島のイスラム国に旅行するのは初めてでした。
行ってみると、ほんの数日間の滞在でも、書物等からはわからないことをいろいろと発見できました。

たとえば本には、イスラムでは偶像崇拝が禁止されているから、こういった湾岸諸国では、人形や人物画、マンガも空港で没収されることがあると書いてあったりしますが(『イスラーム世界がよくわかる Q&A100』p.171)、
ドーハ最大のショッピングセンターに行ったところ、ヨーロッパのサッカー選手たちの特大ポスター(スポーツブランドの宣伝)が、何枚も堂々と下げられていました。
偶像崇拝はダメだが、アイドルはいいんですね!(偶像とアイドルは英語では同じ"idol")
新聞にも、ベールも何もかぶっていない女性・男性モデルの写真やマンガ・イラストが普通に載っていますし。
キティでいっぱいのサンリオショップもありました。

もちろん、地元カタール人のほとんどは、男性は白いアラブ服、女性はベール・全身黒のイスラム服を着たムスリム(イスラム教徒)の人たちです。

そして、そのショッピングセンターにドーハで一番おしゃれなスイーツのお店が入っていたんですが、
そのディスプレーをご覧ください。

4すいーつ2.JPG

なんと、スイーツを舟盛にした上に、桜の花と扇子のアレンジが。
和風が今、おしゃれみたいです。
和食も人気で、ホテルのバイキングでもお寿司が出てきますし、
アラブ人が食後に飲み物を頼んだので、アラブ風コーヒーかな?と思い「同じものを」と頼んだところ、緑茶だったとか。

 会議の会場&宿泊先は外資系(アメリカ)のシェラトン・ホテルだったのですが、
http://www.sheratondoha.com/

客室の内装はアメリカや日本のホテルと一見似ていますが、
それでも「さすがイスラム国」と思ったのが、
天井についていたこのマーク。

2きぶら.JPG

 「こちらがマッカ(メッカ)の方角」と示す矢印です。
ムスリムは1日5回、マッカを向いて礼拝をする義務があるため、すぐわかるようにというサービスでした。

さらに、引き出しをあけると電話帳が入っていたのですが、
表紙は砂漠を行くキャラバン。

3電話帳.JPG

その表紙をめくると、 

3電話帳2.JPG

 「慈悲深く慈悲あまねきアッラーの御名において」
と書かれた1ページが。
さらにめくると、

3電話帳4.JPG

カタール国元首の写真が。

ベッド・サイドの引き出しには、クルアーン(コーラン)とお祈りに使うカーペットが入っていました。

7ホテルクルアーン.JPGのサムネール画像

こういったことは、ガイドブックには載っていないようなのですが、
本場アラブのイスラムの生の姿を知るよいきっかけになりますよね。
西洋的・現代的な文化と、イスラムをどう組み合わせているか。
日本の文化が、キャラクターも伝統的な要素もどう取り入れられているか。

みなさんも、大学で宗教文化知識を仕入れておくと、
海外旅行での目の付けどころが変わってくると思いますよ!

GO TOP