学部・大学院FACULTY TAISHO
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史学専攻
毘沙門堂史料採訪の記②
毘沙門堂は、宸殿奥の庭園「晩翠園」も最高です。夏に東山を渡って来る風は一服の清涼剤の趣きです。今回は、先年発見した新出史料を紹介しましょう。研究は”足”でかせぎます。
下の文書は、後陽成院が天海に命じて毘沙門堂(出雲寺)復興を約束させ、家綱の世代になってその願いは叶い、土地を山科にいただき、寺院が建立されました。その上、公海については、将軍秀忠の意向もあって門跡として、また九條幸家の実質的な養子のように取り立てられ、家光以下の法事の導師も命ぜられていたことがわかります。差出し人の公海は天海の高弟で、後西天皇の皇子公弁法親王の入寺に全力を注ぎ、これを育てて、毘沙門堂を門跡寺院として再興させました。これは、公弁と推測される「弟子を頼む」という、恐らく江戸の寛永寺か幕府関係者に宛てた文書の草案ですが、毘沙門堂再興の由来が語られている貴重な史料です。