学部・大学院FACULTY TAISHO
国文学専攻
国文学専攻在学生・修了生インタビュー 3号
大正大学の大学院国文学専攻の雰囲気を伝える、在学生・修了生インタビューの第3号をお届けします(第1号はこちら、第2号はこちら)。
第3号でご協力いただいたのは、大学院の博士前期課程(修士課程)を修了時に教員免許状の専修免許を取得されて、現在は高校の教壇で活躍されるOBの永島裕之さんです。どうぞよろしくお願いします。
Q.修了された課程と年度を教えてください。
2017年度博士前期(修士)課程修了です。
Q.大学院に入学しようと考えたきっかけは何ですか?
そもそも高校在学時に現代文の授業で芥川龍之介の『羅生門』を教わったことで、文学の門をたたくこととなりました。元々小説を読むことを趣味にしていた私は、その授業を受けて、小説の読み方を知り、目を開かされました。そこから大学では国文学を専攻し、そのまま大学院まで進学し、文学に没頭したいと考えるようになったことがきっかけです。
Q.なぜ大正大学大学院の国文学専攻を選びましたか?
学部3年のときに卒業論文で『平家物語』を取り上げることに決めた私は、平家関連で研究するにあたって、何か目新しいものはないかと探していました。その際に安居院の唱導を知ることとなりました。この安居院の唱導について、私の在学時には本学にいらっしゃった清水宥聖先生のご専門であると知り、前述のとおり、大学院進学を決めていた私は、このまま内部進学することにしました。
Q.大学院の試験はどのようなものでしたか? 何か印象に残っていることはありますか?
英語の筆記試験と口述試験がありました。英語は辞書の持ち込みができますが、文法の知識などはある程度必要であるとは感じました。
口述試験では、印象的だったことがあります。自身の研究についてそれが何に役立つのかという質問を受けたことです。研究することは、自己満足のためではなく、社会奉仕のためにするものであるという当たり前のことに気づかされました。たとえ文学という分かりやすい実益を生むものでない学問であっても、社会への還元を求められていることをはっきり自覚しました。
Q.大学と大学院とで違うことはありましたか?
そこにいる人間に大きな違いがありました。
例えば先輩方です。その知識量に驚かされました。それは学部生との意識の差にあるものと思います。彼らは研究をしているのです。そのために必要なことは貪欲に学ぶ、そういった姿勢が自然に勉強量を増加させるのでしょう。
また同期の友人は他の学部生とは違い、熱心な勉強家であり、文学に対する強い情熱をもっていました。学部生と院生、あるいは院に進学する学生とそうではない学生の違いだと感じました。
Q.大学院で楽しかったこと、良かったことはありますか?
志を同じくする同期がいたことです。共に学び、高め合い、苦難を分かち合う存在がいたことは大変重要なことです。好敵手というわけではないですが、向こうがここまでやるならこちらはそれ以上の調査を、といった具合に切磋琢磨できる存在は他に代えがたいものです。
Q.大学院で学んだことは、ご自身の今のお仕事でどのように活かされていますか?
私は学習塾の時間講師や中学・高校の非常勤講師をしながら大学院に通っていました。それを踏まえて、現在は高校で教鞭を執っています。
自分が研究してきた安居院の唱導や仏教文学といったものは高校で教える範囲を超えています。ですので、残念ながら授業で自身の研究してきた分野をそのまま伝えることはできていません。しかしながら、院生時代に培ってきたその研究姿勢は教員にとって必要なスキルだと思います。
例えば教材研究に掛ける時間量が多ければ多いほど作品への深い理解が望めます。それは授業、特に国語の授業では最も大切なことではないでしょうか。生徒を深い思考に導くためには当然教師側の深い思考が前提です。生徒は実に様々な読み方をします。そういった読みを導き、また、肯定するためにも教材を研究することは重要です。
そして何よりも、教師側の熱情を生徒に見せてほしい。自分がそうであるように、大学院まで進む人間はその分野に比類なき熱情を持っているわけです。その熱情を生徒に見せることで、生徒の将来に影響を及ぼすかもしれません。むしろそれができることが専修免許を持つ者に与えられた使命だと思っています。
インタビューは以上です。ありがとうございました!
大学院という場において、研究を通じて培った情熱を現在に活かされていることがよくわかる貴重なお話をいただきました。教材研究のお話しなども、本当にそのとおりですね。インタビュアーのスタッフも、中高で教壇に立った経験があるので、「生徒は実に様々な読み方を」するといったあたりは、深く頷くところでした。それを否定するのではなく、自信を持って肯定するためにも、自ら教材を文字通りに「研究」する力を、大学院で身につけることが大切なのだというお話しとしてうかがいました。
この度は本当にありがとうございました。引き続きご活躍をお祈りしています。また何か機会があれば、ぜひお便りをお寄せください。
国文学専攻では、今後もこうしたインタビューを実施していきたいと考えています。また、学部学生の方でも、院生や修了生の方に聞いてみたいことがある方は、教員まで気軽にお問い合わせください。よろしくお願いします。
大正大学大学院文学研究科国文学専攻