学部・大学院FACULTY TAISHO
社会福祉学専攻
「精神障害のある人のリカバリーとピアサポート ~日米の実践の比較から~」相川先生の講義を受けて
12月17日(水)、聖学院大学人間福祉学部人間福祉学科相川章子先生をお招きして、「精神障害のある人のリカバリーとピアサポート ~日米の実践の比較から~」と題した講義をしていただきました。当日は、大学院生ならびに豊島区民社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカーの多数の参加があり、活発なディスカッションが交わされました。コミュニティソーシャルワーカーの方々はいま地域での実践活動を通して意見を述べられました。また院生たちは率直に感じた疑問を投げかけ、みんなで学びを共有することができました。
今回は院生2人の感想を紹介いたします。
宇野さんは、「相川先生の話に引き込まれていました。前半は、障害者・当事者という意味でなく『仲間・対等・同僚』という意味であるピアの話から始まり、仲間同士の営み全てを表わすピアサポートが、実際場面ではどのような形態で活動しているのか?その活動における経験の意義などの話がありました。とりわけ病気や障害の経験などに注目した上で、ピアサポートについてリカバリーと関連した話もされました。複眼的に、もしくは広がりをもって理解するよい機会となりました。後半に入ると、ピアサポーターがテーマになりました。ピアサポーターとは、疾患・障害があり保健福祉サービスの受け手(利用者)であり、かつ保健福祉サービスの送り手(職員)となっている人で、かつそれを仕事として報酬を得ている人のことであります。そこでは、アメリカの実践例も紹介されて、州ごとにある認定ピアスペシャリスト制度のこと・それを支えるしっかりとしたスーパービジョンや研修の仕組みについて知ることができました。さらに、日本における実践について、ピアサポーターが抱える葛藤や問題など、今後視野に入れるべき課題・ポイントを論じられていて、いろいろと考えさせられました」との感想が寄せられました。
また、御園さんは、「私は今回の相川先生のお話を通し、3点の事を考えました。まず1点目としては、これからは『支援者―当事者』という2者関係ではなく『支援者―プロシューマー(当事者にしかわからない固有の専門性を持つ方)―当事者』という3者関係が重要になってくるという事が勉強になったと同時に、プロシューマーの存在がある事により、当事者への支援も更に厚くなるのだろうと考えました。2点目は、リカバリー志向の支援に対する支援者のスタンスに関してです。私自身、修士論文を執筆する中で『リカバリー』という概念に関する先行論文は多く読んできたものの、具体的な『リカバリー志向の支援』に関する論文が出てこなかった為、お話を聞く事が出来て非常に参考になりました。特に中でも、専門職者に対しての研修を行うというお話がありましたが、日本ではまだ余り進んでいないという事でしたが、アメリカでは、専門職者への研修を当事者自身が担っているという事を知り、大変興味が湧きました。3点目として、私が論文を執筆していく上で、特に興味を寄せているリカバリーストーリーに関してです。当事者にリカバリーストーリーを語って頂く事は、自分の歩んできた人生を晒すことになる上、日常の場で気軽に話す事は危険を秘めている為、話す相手も絞る必要がある事を知りました。当たり前の事かと思いますが、改めて考えさせられました。最後に、今回、貴重なお話を聞かせて頂き大変有難うございました。今後の参考にさせて頂きたいと思います」との感想が寄せられました。
(文責:金潔)