学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

社会福祉学専攻

「コミュニティソーシャルワークにおけるコンサルテーションの実際」―菱沼幹男先生の講義を受けて

 
 7月15日(水)、菱沼幹男先生(日本社会事業大学)をお招きして、「コミュニティソーシャルワークにおけるコンサルテーションの実際」と題した講義をしていただきました。当日は、大学院生ならびに豊島区民社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカーなど多くの方が参加されました。

 今回の講義では、地域生活支援における制度的課題、コンサルテーションの定義、コミュニティワークとコミュニティソーシャルワーク、CSW事例検討会の目的と意義、CSWコンサルテーションを行う際の視点などについて、菱沼先生は分かりやすく定義を説明してくださり、また具体的な事例検討の進め方を詳細に紹介してくださいました。院生にとってもコミュニティソーシャルワーカーの方々にとっても学び大きい講義となりました。

IMG_0398

 春学期Mスーパービジョン演習に科目等履修生として学びにきている豊島区民社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカー3名の感想を紹介いたします。

 

感想①

 菱沼先生の講義は「コミュニティソーシャルワークにおけるコンサルテーションの実際」というテーマで行われました。コンサルテーションの定義、コミュニティソーシャルワークにおける事例検討のポイントや留意点、事例検討で使用するフォーマットなどについて、詳細にわかりやすく説明されました。どれも私たちの目の前にある課題であり、個人としても、職場全体としても参考にすべき点が多くありました。

 私が特に心に残ったのは、個別支援と地域支援の統合的展開についての事例です。地域全体の認知症高齢者の問題を解決するために「メールによる徘徊声かけ訓練をする」ではいつまでたっても顔のみえる関係にはならない。漠然とした事業や計画ではなく、訓練の後反省会などで「この人をどうするのかを話し合う」「この家族を支援するチームをつくる」ための場を設けるなど、目的をもって展開するのがコミュニティソーシャルワークである、というお話でした。頭では理解しているつもりでも、つい前年度のやり方を継承したり、あるいは十分な事前準備ができず目的が達成されなかったりという状況に陥りがちです。先生のお話は、そういう意味では徹底的な問題解決志向であり、まさにコミュニティソーシャルワークでこそ達成できる活動の醍醐味であると感じました。有意義な講義を聴かせていただきどうもありがとうございました。

豊島区民社会福祉協議会CSW:松里佳奈子

IMG_0397


感想②

 スーパービジョン演習を通して、自身の業務における様々な課題が見えてきました。特に地域課題の発見の難しさや、地域のストレングス発見の視野の狭さに気づく事ができたと感じています。また、独りよがりになりがちな支援には優しく気づきを与えて頂き、不安に思い立ち止まりそうな点は理論的に視野を広げて頂きました。経験の不足から理論だけでは理解しきれない部分も、先生方や仲間の実践を基に学ぶこともできました。たくさんのヒントを頂き、今は少しずつだか成果が見えはじめていると感じています。今後も様々な方法で学びを深め、活動に活かしていきたいです。

豊島区民社会福祉協議会CSW:田名部泰喜

 

感想③

 CSW事業では様々な事例を扱います。事例の検討内容や対象者は幅広く、支援方法は事例検討者の技量や引き出しに左右されてしまうことは少なくありません。多機関との連携も思うように進まず、支援に行き詰ってしまうこともあります。

 今回「コミュニティソーシャルワークにおけるコンサルテーションの実際」というテーマのもと、CSW事業を実践するための必要な視点、事例検討のポイントをお話しして頂きました。今回、菱沼先生の講義を受け、CSW事業の実践者として自分の検討内容はどうだったか、当事者や地域に対してどう働きかけていたか日々の職務に流され事例を多面的に検討出来ていなかったかもしれない、支援の困難さをきちんと整理できていなかったかもしれないといった、自身の反省すべきこと、これから出来ることを考える良い機会となりました。今回の自身の直面している支援の困難さに対し、きちんと整理出来るように事例に向き合い、CSWを実践する者として関わる方々の力や地域の力を高めていくことが出来るよう、切磋琢磨していきたいと思います。

豊島区民社会福祉協議会CSW:飯島陽子

 

 

(文責:金潔)



GO TOP