社会福祉学専攻

公開講座：実践分析研究 「エコシステムの視点から社会組織の育成方法に関する研究 －上海市M区W鎮の事例を通して－」

　
　平成28年７月20日に中国の華東師範大学社会発展学部教授、韓暁燕先生をお招きし「エコシステムの視点から社会組織の育成方法に関する研究 －上海市M区W鎮の事例を通して－」の講演と、参加者によるディスカッションを行いました。



　韓先生は、児童・青少年福祉とソーシャルワーク、一人親家庭、社会組織の育成等を研究領域とされ、上海市M区をフィールドしてNPOを組織した実証研究を行っています。上海市M区は、人口約56,000人で60歳以上の高齢者が人口の25％を占め、日本と同様に少子高齢化が進み、若年層の地域活動への少なさが課題としてあげられていました。

　また韓先生のNPOでは、高齢者の孤立予防、支援拒否と家庭訪問時の葛藤、子育て世代の地域活動参加への促進、住民参加による地域の資源開発等、日本のコミュニティソーシャルワークと類似の課題に取り組まれ、国は違っても都市部の取り組みの共通項が見いだせました。さらに、当日は大学院生の他、豊島区民社会福祉協議会のCSW等も参加し、日中のコミュニティソーシャルワークについて活発な議論が交わされました。しかしながら、当日の限られた時間では、中国の社会保障制度や地域文化等については、深める時間に乏しく残念でした。

　今回の招聘研究は、昨年度、本学名誉教授の石川到覚先生らが、本学教授の金潔先生のご紹介で華東師範大学に招かれ招聘講演を行ったご縁により実現したのですが、大正大学と華東師範大学社会発展学部との研究交流の可能性も提起され、今後の日中共同研究への展開が楽しみです。

　（文責：神山裕美）