学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

社会福祉学専攻

高校生に実践を語る

 去る1月12日(金)に、都立赤羽北桜高等学校3年生が受講する「生活と福祉 実践」で「認知症を理解する」目的の授業にて、大学院生であり、かつ、デイサービスを運営している薩摩眞理子さんが、認知症の高齢者が生き生きとしている現場実践の様子を話してくれました。

 

 高校生の授業後の感想を紹介します。

 「認知症の高齢者もその家族も、正しい認知症の知識を知らなければ、否定的な言葉やあきらめをすることで、より一層認知症を悪化させ、社会的に孤立してしまう。しかし、薩摩先生の施設のように、認知症高齢者を1人の『ひと』として接し、料理、調理を通じて社会貢献や孤立からの脱却、仲間ができて、支え合える人生を取り戻すことができる世の中になるべきだと思った。

 認知症の人でも(介護保険を使っている人)お金をもらえるような仕組みを認知症の人を想い、行動で創り上げることができた。世の中の制度も認知症に対する関わり方や協力のやり方、手伝いのあり方が良い方向に変わりつつあるのかもしれない。

 今回の授業を聞いたことがこれから先、僕自身の人生に生かしていけるものだと思った。」

 「認知症の高齢者と食に関わったケアの実践において、出来なくなることが増えて自信喪失の連続である当事者に対し、そのような不安と孤立感を取り除けるよう、支援者が関わり方に十分注意する必要があることが分かった。

 認知症高齢者が、『自分は社会で必要とされている』と実感できて、活躍できる環境づくりをさり気なく援助することが『適切な支援』であるというお話は、どの支援でも当てはまりおさえるべきポイントだと思った。」

 「40食分の食事を作るのは、大変なことなのに、認知症高齢者の方々は『喜んで欲しい』『誰かのために』と自ら社会参加をしていく姿にびっくりしました。段々と認知症のことが理解されてきているけれど、まだ認知症の方は『何もできない』『何もわからない』と思っている方も少しはいると思うので、全ての人が正しく理解して、地域・社会全体でサポートしていければいいなと思いました。身体障がい、知的障がい、年齢問わず働きたいと思った人が働くことができるようになるといいなと思いました。サポートの仕方や、言葉を選ぶことで、しっかりとコミュニケーションもとれるんだなと思いました。」

 受講している生徒たちは、家庭学科保育・栄養科の栄養・健康系です。食生活に関わることを学習していることもあって、薩摩さんの実践の中でもとくにお弁当づくりを聞いて異口同音に、認知症になってもできることがあって、社会参加できることのすばらしさ、それを実現できるようにサポートすることの大切さについて、心に響くものとなりました。

 薩摩さんが経験豊かな運営者であるとともに、大正大学の大学院で学んでいることを知って、驚きの声があがりました。
 生徒の中に、すでに大正大学に合格し、4月から入学する生徒もいたため、クラスメイトからは「キャンパスで会うかもしれないね。」と声がかかったりしました。

 


最後にもう一人、高校生の感想を紹介します。

「仕事をしながら大学で勉強していてすごいなと思いました。玉ねぎ畑にマリーゴールドを植えることで虫よけになると知りました。
 色々経験しているからこそ高齢者(認知症)の気持ちが分かるのかなと思いました。
 仕事を辞めたいのに今もしているなんですごいと思いました。
 本当に働きながら勉強なんて私なら出来ないから尊敬です。」

 

                               (文責:宮崎牧子)

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