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鴨台会報・ホームページ連載企画「My Way -私の歩んできた道-」・・・2014年度第2回 伊藤 淑子先生 『アメリカ文学女性像研究会』 が掲載されました
鴨台会報NO.96のホームページ連載企画
「My Way -私の歩んできた道-」
(文学部 伊藤 淑子 教授)
今回は続編 第2回
『アメリカ文学女性像研究会』です。
先生の研究のいわばホームグラウンドという「アメリカ女性像研究会」。誕生の経緯や活動の様子を伺いました。以降、ジェンダー研究も先生の主要なテーマの一つになります。
●ジェンダーへ研究テーマが広がる
前回、私がジェンダーの研究に興味を持ったきっかけをお話ししました。今回はその後の展開について思い起こしてみたいと思います。
そもそも「どうして男性中心なのだろう」「いつも問題解決の判断をしているのは母なのに、いざというときの最終決定権はどうして父に委ねるのだろう」「どうして女子は数学が苦手というステレオタイプがあるのだろう」「どうして女性のほうがお茶汲みをするのだろう」というような日常的なわだかまりを持っていました。最初は生活レベルの疑問でした。いまではあたりまえの女性学、ジェンダー研究ですが、学生時代にフェミニズム批評はまだ学問的な認知を十分には受けていませんでした。やがて時代の流れとともに、こうした疑問を学問的に昇華するチャンスが訪れます。具体的な行動の第一歩は、仲間たちと「アメリカ文学女性像研究会」を作ったことでした。
●「アメリカ女性像研究会」誕生の経緯は
それまでは女性像について語るということは、いわば文学の亜流という認識がありました。研究テーマとして認められるために、あえて女性を研究の中心に据えることは避けてきました。
80年代も後半になって、「女性学」「フェミニズム」ということばも定着し、さまざまな女性学的な批評の方法が確立されていくなかで、私たちもやってみようということになりました。先輩の尽力、恩師の協力があり、「アメリカ女性像研究会」が立ち上がりました。
そして、女性、ヒロインという視点からアメリカ文学の名作を読み直したらどんなふうに見えてくるだろうというプロジェクトが始動し、その成果として『ヒロインから読むアメリカ文学』(板橋好枝編、勁草書房、1991年)を出版しました。私にとってはこの仲間たちと研究成果を世に問うた最初の論文集です。
大学院の修了生たちが集まって勉強会を開き、研究会となり、津田塾大学からも正式に認められるようになったのはとても嬉しいことです。それから、1~2年に1冊のペースで、みんなで本を書いていきました。この研究会で学んだことや経験したことは、私にとって、とても大きな力になっていると思います。
●研究会はいまでもホームグラウンド
いま仕事のベースはもちろん大正大学ですが、研究ではやはりこの研究会がベースであり、いわば学問上の故郷です。もちろんほかの大きな学会にも属していますが、親密な関係のなかで何でも言い合い、最も充実した時間を過ごすことができるのはこの研究会です。切磋琢磨して、時には厳しい指摘を受けることもあります。原稿が真っ赤になるぐらいお互いに読み合わせ意見を交わしたりもします。いまでも年に4回程度例会を行っています。仲間たちと過ごす時間は本当に楽しいものです。学び合えるというのは幸せなことです。学生の皆さんも批判されることを恐れず、意気消沈しないで、学ぶ本当の楽しさを味わってほしいと思います。
恩師を囲んで・・・
アメリカ女性像研究会での集い
次回のテーマは「出身地岡山で大学の教壇に立つ」。忙しい日々のなかで、海外で見聞を広めたり、東京と岡山を往復して勉強したり、精力的な活動の様子をうかがいます。