学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

人間科学専攻

河合先生分担執筆『アーレントとテクノロジーの問い』が刊行されました

1月に、河合も分担執筆した『アーレントとテクノロジーの問い――技術は私たちを幸福にするのか?』(木村史人・渡名喜庸哲・戸谷洋志・橋爪大輝編)という本が法政大学出版局より刊行されました。

河合は、「スマートさは悪の凡庸さをもたらすのか」というタイトルの章を執筆しました。戸谷洋志さんの著した『スマートな悪——技術と暴力について』(講談社)の合評会シンポジウムで報告した内容を元に書かれたものです。

しかし、実は、拙論の内容は人間科学科の学生と無関係ではありません。なぜなら、現代社会論の授業のなかで「悪の凡庸さ」を扱う回があり、その授業を行いながら自分でもうまく説明しきれていないと感じたことや、何より学生から受けたリアクションペーパーでの質問をも踏まえて書かれたためです。

拙論は、ハンナ・アーレントが提唱した悪の凡庸さという、非常に誤解されやすい言葉を、なるべく平易に分かりやすく解説することを心掛けましたので、ぜひお手に取って読んでもらえるととてもうれしいです。

それだけでなく、マックス・ヴェーバーの官僚制論を用いて、悪の凡庸さという状況がどれほど官僚的かを分析した点に独自性があります。ヴェーバーの名前は、社会学の基礎や社会学の理論と方法でも出てきます。この独自性は、まさに授業に刺激されて取り組まれた部分です。

本書は、その他にもアーレントの思想を通じて、情報通信技術、人工知能、生殖医療、核エネルギーといったテクノロジーを読み解く論考が収められています。

なお、合評会シンポジウムは2023年3月に行われましたが、その直前に河合は背骨を骨折した痛い思い出があります。本書の目次の前のページには、シンポジウムの様子の写真が載せられており、私が杖をついているのが写されております。その様子も、本書の見どころの一つ(⁉)です。ぜひ、お手に取って確認してみてください。

                                             (文責:人間科学科事務室)
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