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宗教学専攻

2012年度修士論文中間発表

 7月4日(水)16:30より、宗教学研究室(2号館3階)で修士論文中間発表会がおこなわれました。今回は、12月に提出予定の修士課程2年生3人が、目次案や現在執筆を進めている論文の内容などを報告しました。星野英紀先生、弓山達也先生、村上興匡先生、寺田喜朗先生の他、OBや博士課程も集まり、活発な議論がおこなわれました。以下、発表順に、各発表の要旨を紹介いたします。


 横山福寿さんは「現代における坂東観音巡礼の一考察」というタイトルで発表されました。この研究では、坂東三十三観音巡礼を、西国・坂東三十三観音巡礼と比較して、その巡礼の特徴について明らかにすることを目的としています。研究方法は、巡礼の目的や交通手段、信仰心の有無などを知るために巡礼者にアンケートを取るという量的調査を採用しています。現時点ですでにサンプル数が目標の9割に達していて、巡礼者の属性などが徐々に明らかになっているとのことでした。今後の課題として、自由記述欄の整理の仕方、データの取得方法の明示、先行するデータとの比較の方法などが挙がりました。

 坪田悠希さんは「三遊亭圓朝に見る時代の変化」というタイトルで発表されました。この研究では、江戸末期から明治にかけて活躍した落語家の三遊亭圓朝の代表作『眞景累ヶ淵』を中心に、怪談をめぐる表現形式がどのように変化していったのかを明らかにすることを目的としています。現在、時代ごとに出版された『眞景累ヶ淵』のテキストクリティークや2002年からおこなわれている「圓朝まつり」の調査をしているとのことでした。今後の課題として、『眞景累ヶ淵』が演じられた当時の怪談・怪異の受容の検討をし、現代とどのように違うのかなどの考察が必要であるとのご指摘がありました。

 魚尾和瑛さんは「災害と宗教―狩野川台風を事例に―」というタイトルで発表されました。この研究では、「災害と宗教」に関して、「ボランティア」や「社会貢献」などの概念が定着する以前の「災害における宗教者の活動」を対象に、現代の活動とどのように異なるのかを明らかにすることを目的としています。具体的な事例として、昭和33年の狩野川台風災害とそれに対する宗教者の活動を扱うとのことでした。本論では、当時活動をした宗教者への聞き取り、被災児童・生徒の作文の分析、宗教団体間が協力しておこなう活動の検討など、多角的に「災害と宗教」をみる方法を採用しています。質疑応答では、当時の「宗教」観や地域社会における宗教者の位置の検討、修士論文としての一貫性の確立などが課題として挙がりました。

 

(この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)

大正大学宗教学会HP http://www.taisho-shukyogakkai.net/

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