学部・大学院FACULTY TAISHO
宗教学専攻
【震災と宗教】いわき市、震災から2年
大正大学宗教学会「震災と宗教」研究会は、いわき市を主なフィールドとして研究を進めております(詳しくはこちら)。
3月10日から11日にかけて、非常勤講師の齋藤知明と教育人間学専攻3年生の河野智祥さん、芳賀沙統子さん、若林彩香さんの計4名で、震災からちょうど2年経ったいわき市における追悼行事や宗教団体の活動などを見学・参加してきました(3/26追記:学生3人の調査レポート)。見学・参加した行事と概要は下記のとおりです。
3月10日
・復興エイサーいわき・エイサー、沖縄獅子舞
・浄土宗福島教区・東日本大震災物故者三回忌法要
3月11日
・グローバルミッションチャペルの炊き出し
復興エイサーは、道の駅よつくら港で行われました。道の駅よつくら港は、津波によって建物が甚大な被害を受け閉鎖されていましたが、昨年8月にリニューアルオープンしたとのことでした。10日は風も強く、エイサーの開催自体も危ぶまれましたが、沖縄から来たエイサーの諸団体は「津波よりたいしたことはない」と言って力強く舞っていました。会場には多くの方がいらっしゃり、いわきの伝統芸能である「じゃんがら念仏踊り」と深いゆかりのあるエイサーに心励まされているようでした。
エイサー
沖縄獅子舞
浄土宗福島教区主催の三回忌法要は、津波被害が甚大だった豊間地区の淨應寺で開催されました。そこでは、震災によって亡くなられた福島県内の浄土宗檀信徒で方のご回向を厳粛に行っていました。本来ならばご遺族のみが法要に参列するところを、無理を言って参列させていただきました。浄土宗福島教区および浄土宗災害復興福島事務所のみなさま、ありがとうございました。
淨應寺での三回忌法要
グローバルミッションチャペル(GMC)は、いわき市の中心部である平地区の教会ですが、震災直後から津波によってほとんどの住宅が流され多くの死者を出した薄磯地区の支援を重点的におこなっています。今回は半日、GMCの高橋次夫さんに案内してもらい、GMCのボランティア活動に参加させていただきました。このボランティア活動は、GMCが薄磯地区に構える「薄磯支援センター」でおにぎりを握り、11日に同地区の修徳院でおこなわれた法要に参列した方々に配るというものでした。炊き出しにはいわき市内の寺院や石川県から継続的に支援活動を行っている寺院、さらには地元の企業などもそれぞれ参加していました。
現在の薄磯地区、住宅の跡地
炊き出しの様子
炊き出しは14時頃に終了しましたが、地震が発生した14時46分には、海岸で黙祷する方の姿が多くみられました。我々もGMCの方々とともに、海岸に向かって各々祈りを捧げました。GMCのみなさま、およびボランティアに参加されていたみなさま、ありがとうございました。
海岸には供養のための塔婆と花が供えらえていた
今回のいわき市の訪問は、これまでのようなインタビュー調査などをするのではなく、震災から2年経ったいわき市の様子や被災者やご遺族の方々の表情や感情を活動することによって肌で感じることが目的でした。そこでは、被災地の苦しみはまだまだ癒されてはいない、被災地の復興は未だ始まってすらいないということを心苦しくも実感することができました。現地では「遠くにいる人間は何もわかっていない」とのお叱りを受けることもありました。一方で「記憶が弱まり支援活動が薄くなっていくこれからこそ、本当に支援していかなければならない」との言葉もいただきました。共に訪問した学生とともに無念と無力さを感じるとともに、多くの希望も抱くことができ、我々が今後なすべきことをしっかりと見つめることができた旅でした。
(文責・齋藤知明)
(この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)
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