学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

宗教学専攻

国立ハンセン病療養所・ハンセン病資料館を訪れました

 去る6月1日に、弓山達也先生が開講しています、MD宗教思想史特論の授業の一環として、東村山にある国立療養所多摩全生園・ハンセン病資料館を訪れました。また、ハンセン病を研究している、本学研究生の菊池さんと本学の院生で時宗僧侶の鈴木さんが同行しました。
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見学の様子
 
 多摩全生園では、菊池さんの案内のもと、療養所内の宗教施設を訪れました。これらの宗教施設は、全生園に入居されている方々の為の施設であり、現在でも入居者の方々が利用しています。また、これらとは別に神社も施設内に建てられており、戦後GHQの政策によって、取り壊されたものを入居者が再建した神社へとお参りさせていただきました。
 
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全生園内の永代神社
 
 この全生園内には、納骨堂があり、今まで亡くなったハンセン病患者の方々の遺骨が納められています。ここへも、お参りさせていただきました。
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納骨堂前の碑・ハンセン病患者の苦労などが記されている
 
 ハンセン病資料館では、「一遍聖絵・極楽寺絵図にみるハンセン病患者―中世前期の患者への眼差しと処遇―」という特別展が開催されています。
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 ハンセン病資料館・特別展の案内
 
 特別展で展示されている一遍聖絵などの解説を鈴木さんが行ってくれました。一遍の周りに集まる様々な身分の人々の中に、ハンセン病患者がおり、様々な場面が描かれています。鈴木さんの解説によれば、一遍の周りには、差別されていた人々も集まっており、そのような人々へも、一遍やその周辺の僧侶達は、教えを説いていました。
 また、当日は「極楽寺境内絵図を紐解く」という講演会があり、こちらにも参加いたしました。これは、鎌倉にある極楽寺住職による講演で、極楽寺絵図の中に「ライ宿」と呼ばれる建物があり、極楽寺の開山上人の忍性は、当時差別の対象となっていたハンセン病患者を集め、看病を行っていたことが語られました。忍性やその弟子達は、衛生面だけでなく、ハンセン病患者の心の支えとして、患者達を支えていました。
 資料館では、宗教が説いたハンセン病差別について述べられており、その一方で、明治以降にハンセン病患者の支援に取り組んだ宗教者や、医療者についても詳しく展示されています。国立の資料館ですが、療養所内部で患者達が心の拠り所とした、祭りや信仰、それに付随して使用されていた経本などが展示されております。主に、宗教がもたらした差別と支援、療養所内の心の支えとしての宗教について取り扱われています。
 参加者一同、ハンセン病の実態を知るところから始まり、療養所の中の辛い生活と、その支えとなった様々な信仰を目の当たりにし、宗教のもたらす正と負の面を再認識させられました。宗教を研究する上で、宗教のもたらす影響は様々であり、各々の研究へと反映させていきたいと考えています。 
(文責・魚尾和瑛)

(この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)

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