学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

宗教学専攻

2013年度修士論文中間発表会を開催しました

 12月19日(木)16時より、宗教学研究室(2号館6階)にて、修士論文テーマ発表会・中間発表会がおこなわれました。今回は、修士課程の2名が、目次案や現在執筆を進めている論文の内容などを報告しました。発表会には、弓山達也先生、村上興匡先生、寺田喜朗先生の他、OBや博士課程の院生なども集まり、活発な議論がおこなわれました。以下、発表順に、各発表の要旨を紹介いたします。

 

 福原さとみさんは「主婦ボランティアの始まり―大槻久子の功績と信仰―」というタイトルで発表されました。この研究では、現在に至るボランティアの担い手としての主婦層を確立した人物として、大槻久子を取り上げ、彼女の宗教的背景、思想とボランティア活動との関係について考察することを目的としています。そして一主婦の信仰心がもたらした日本のボランティア史への功績を明らかにすることを目指します。

 研究の方法と手順として、(1)大槻自身が書き残した資料の解析、(2)大槻の家族をはじめ、「よこいとグループ」関係者への面接調査、(3)これらの結果の、宗教的観点からの分析を試みます。今後の課題として、大槻自身の信仰心が本当に原動力となっているのか、他の主婦のボランティア団体との違いなども考察が必要であると挙げられました。

 

 坪田悠希さんは「三遊亭圓朝に見る時代の変化」というタイトルで発表されました。この研究では、江戸末期から明治にかけて活躍した落語家の三遊亭圓朝の代表作『眞景累ヶ淵』を中心に、怪談をめぐる表現形式がどのように変化していったのかを明らかにすることを目的としています。現在、『眞景累ヶ淵』、『怪談牡丹燈籠』、『死神』の3作品について、原案となる作品の存在、時代的背景を考慮した創作、内容やオチを変更する可変的な要素等が、圓朝の創作落語の特徴であると述べています。

 研究方法としては、井上円了による迷信打破のための妖怪研究、柳田國男の民俗学的研究、小泉八雲の怪談小説を例に、圓朝の落語と同時代の怪異研究との比較を主におこないます。今後の課題として、聞き書きとしての表現、創作としての表現、ルポライティングという表現、それぞれが明治という時代にどのような特色を持っていたのか比較していけば良いのではないかという点などが挙げられました。

(文責・杉谷義恭)

 

 (この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)

大正大学宗教学会HP http://www.taisho-shukyogakkai.net/

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