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「学び」と「実践」を通じた人材育成

宗教学専攻

第2回臨床宗教師フォローアップ研修(大正大学宗教学会共催)が開催されました

 去る3月4、5日に本学にて、第2回臨床宗教師フォローアップ研修が開催され、大正大学宗教学会も共催で参加いたしました。

 研修は、全3部で構成され、1部では、聖学院大学教授の窪寺俊之先生による公開講演会「宗教家と臨床宗教師」が行われました。窪寺先生は、スピリチュアルケアや臨床死生学が御専門であり、その立場から宗教家と臨床宗教師がどう違い、そして、何が臨床宗教師に求められるのか、その展望を論じられました。この講演の中で窪寺先生は、東日本大震災によって、宗教者だけでなく、特定の宗教に属さない人たちも「魂の祈り=宗教心」が発露され、宗教を越えた、純粋な宗教心や宗教への救いが求められたと述べられました。しかし、宗教を直接のケアの方法にしてしまうことによって、宗教の品定めや布教、時には宗教的な内容が、被災者を傷つけてしまう可能性があることを指摘しました。

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 聖学院大学 窪寺俊之先生

 その一方で、臨床宗教師にとって宗教は、ケアをしていくことを神仏から委任されているという意識を保つ為に不可欠であり、いつか神仏が被災者を立ち上がらせてくれるという信仰であるとも述べ、宗教が今まで積み重ねてきた信仰や、文化から、ケアへと繋げていけるのだと論じました。そして、臨床宗教師であるからこそ、宗教を越えて宗教者同士が新たなケアや救いの創造に向かっていけるのではないか、とその展望が述べられました。

 2部では、臨床宗教師の研修を受けて、現在第一線で活躍している方々の自己紹介と事例報告が行われました。事例の報告では、窪寺先生を始め、臨床宗教師同士、情報の交換だけでなく、問題点の指摘など、熱い報告、検討会が行われました。それぞれが報告する内容は、個々に報告者が実際に関わっている方々の具体的な事例があり、時には厳しくその対応などに意見が出され、技術の向上が図られていました。

 翌日の3部では、スピリチュアルケアワーカーとして活躍されている、飛騨千光寺住職大下大圓先生による、「死について語る」ワークショップが行われました。ここでは、グループワークとして、死が怖いと相談を受けたというロールプレイを行い、更に死生観をそれぞれのグループで話し合いました。グループワークでは、「死」というものがあまり話されるものではなく、忌避されているものであり、それらを開示していくことが、実際に「死」と直面した人へのケアに繋がっていくのであると実感させられました。

 

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グループワークの様子

 そして、研修プログラムの最後には、それぞれが今回の研修で感じた課題をお互いに述べ、それに対してどうしていくべきかを発表し合い、問題点や課題への取り組みを確認し合う時間が設けられました。

 最後に、東北大学の谷山洋三先生より、各地域ごとに集まりを持ち、情報や事例の情報交換を各地域で行っていくという、臨床宗教師のネットワークを構築していくことが発表され、東北大学以外にも龍谷大学でも養成講座が持たれることも報告されました。今までは、東北が中心となっていた臨床宗教師が、全国で組織化され、ネットワークを構築、更なる活動の広がりがみられました。

 2日間に渡る研修でしたが、100名以上の方々が参加し、どうやって救いを求めている人々へと救いの手をさしのべていくのか、技術の向上だけでなく、ケアに対する意識の向上が研修から伝わってきました。

 

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修了後、受講者一同で記念撮影をしました

 本研究室でも、いわき市へと調査を継続しており、被災地で活躍する宗教者の活動などを調査しており、このような研修から得た知見から、更なる調査と被災地の宗教者の活動を伝えていけたらと思っております。

(文責・魚尾和瑛)

 (この記事は、大正大学宗教学会のホームページの内容を掲載しております)

大正大学宗教学会HP http://www.taisho-shukyogakkai.net/

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