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宗教学専攻

第10回「震災と宗教」定期研究会が開催されました

 2015年3月25日(水)大正大学宗教学研究室において、第10回「震災と宗教」の定期研究会が行なわれました。今回は2月から3月にかけて行われた調査の報告をそれぞれの班から行いました。

 最初に2月に実施した、岩手県釜石市調査について。釜石では、日本基督教団 ハートフル釜石・一般社団法人 いっぽいっぽ岩手・ 仙寿院・NPO法人カリタス釜石を訪問し、震災から今までの活動内容について伺いました。キリスト教系団体の専従スタッフはクリスチャンではないにもかかわらずスピリチュアルな意思を持って仕事をしていることが報告され、また、専従スタッフの待遇面などについて意見が交わされました。

 次に、3月11日前後に実施したいわき市の調査について。まず、3月7日にいわき市スタディツアーに参加したし、現在の仮設住宅の様子や豊間・薄磯地区の被災地見学、語り部によって語られた被災地の現状について報告されました。

 翌日の8日は、複数の行事が行われたので、複数班に分かれて参加・見学を行っていました。まず岩間町の追善供養である「なこその希望2015年〜4年目の祈り」への参加報告がありました。このイベントは神仏合同で法要を行ったこと、来年5年目の節目を持って一旦終了すること、法要後公民館で行われた交流会では、智山派青年会塩さんへのインタビューが行われ、その中で式が楽しい雰囲気に偏りすぎていることについて参加している僧侶達が苦慮していることなどについての報告がありました。
 次に久之浜・大久地区の追悼花供養について。大雨にもかかわらず、老若男女問わず多くの方が参加されていたことや、千葉県から久之浜地区への支援が行われた縁で花供養に140名もの人が参加していることが報告されました。


 研究会の様子

 10日には、日本タオイズム協会が建立した、東日本大震災の慰霊碑モニュメントを見学し、建立の経緯などが報告されました。(日本タオイズム協会見学については、3月22日のブログを参考下さい) 
 3月11日は、震災発生日ということもあり、多くの場所で慰霊祭や行事などが行われました。智山派青年会による海岸塔婆回向に同行した班からは、僧侶達が朝から二手に分かれて久之浜、四倉、江名、永崎などの被災地を周り法要を行った様子が報告されました。 

 また続いて、いわき市の孝道山福島別院の「東日本大震災追悼法要」、 平城址で全国神職有志の会により執り行われた「慰霊祭」、 いわき市の楢葉町の仮説住宅集会所で開催される浄土宗青年会が主催する浜○かふぇについて発表がありました。孝道山については、本山(横浜)や茨城など県外からの参加者が多く、共に法要を行ったこと、神道有志の会の慰霊祭については好間熊野神社の宮司の声掛けにより集められた神職などの人たちに加え、地元の高校生のフラダンス部による舞が奉納されたこと、浜○かふぇについては、仏教色をほとんど出さない活動であること、ボランティアの参加人数が減少し、活動継続への人員の確保を憂慮していること、対外的な活動への認知度が低いことへの不満なども見られたとの報告がなされました。
 
 最後に3月15日から17日まで行った仙台を中心とした調査について。ちょうど16日には、仙台市で第3回国連防災会議が開催されており、災害時における宗教についてのシンポジウムが開催されていたので、調査と併せて拝聴したことも併せて報告されました。ここでは、いわきに比べて仙台市には人・物・金が集まっているので復興が進んでいること、 一方でいわき以上に仙台市の中心部と周辺地域での地域間格差が生じているように感じられるとの報告がありました。


 様々な報告がなされました
 
 震災から4年目を迎え、被災者の方の震災への意識の変化、対応するボランティア
や宗教者の姿勢についての再考を促されていると感じました。これからも本研究会にて被災地の動向を見守っていこうと考えています。

 次回の研究会の日程は未定ですが、決まり次第御報告いたします。

(文責:高橋麻美子)

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