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宗教学専攻

【宗教学専攻】日本宗教学会第78回学術大会に参加しました(前編)


 9月13日(金)~15日(日)、帝京科学大学千住キャンパス(東京都足立区)にて日本宗教学会第78回学術大会が開催され、本研究室からは教員および院生ら13名が参加しました。
 大会第2・3日目には個人発表とパネルディスカッションが行われ、本研究室からもOB・OG含め多数の関係者が発表しました。その様子を今回より2回にわたって紹介します。
 まず、本記事では個人発表について報告します。


●寺田喜朗先生(本学教授)「谷口正治と皇道霊学」
寺田先生は、生長の家の創始者・谷口正治(1893-1985年;1928年「雅春」に正式に改名)の処女作『皇道霊学講話』(1920年)で展開された、日本および日本人の特殊な役割・使命に関する言説を「大衆エスノセントリズム」と措定し、その特質を考察しました。会場に入りきれない数のオーディエンスに囲まれての発表となりました。




●星川啓慈先生(本学教授)「最近の「宗教現象学」をめぐるいくつかの問題」
星川先生は、2017年に刊行された『ヒューマン・スタディーズ』誌の「アルフレッド・シュッツと宗教」という特集に対する、タケットの批判に反批判を試み、それを足がかりに、「宗教現象学」の今日的在り方について提言をされました。

●大澤広嗣先生(文化庁)「文部省に勤務した日本聖公会の広安孝夫」
大澤先生は、1940年の宗教団体法後に生じた日本聖公会の合同問題について、同会の伝道師であり、その後文部省に勤務し、戦前は宗教団体や宗教結社の調査、戦後は宗教法人令と宗教法人法の切り替えに携わった、広安孝夫の動向から、キリスト教団体と政教関係について示唆を加えています。

●春近敬先生(本学非常勤講師)「東本願寺伝道講究院にみる布教理念」
春近先生は、大谷大学修了者を中心とした真宗教師のために開設された伝道講究院の活動概要や、伝道講究院で講師を務めた多田鼎の思想や布教理念について考察されました。

●黒崎浩行先生(國學院大學)「災害後の集落の変化と祭礼文化の包摂性」
黒崎先生は、東日本大震災後の宮城県気仙沼市の神輿渡御のルート変更の事例から、そこにみられる住民の地域認識の拡大と、それに伴う変化・拡大していく地域住民の包摂のプロセスについて言及されました。


●小川有閑先生(本学研究員)「月参りにみる地域特性―超高齢社会における寺院の役割―」
小川先生は、超高齢社会となった日本において「地域包括システム」に着目し、月参りの地域特性について考察しました。全国の月参りの実施状況を各宗派(曹洞宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、真言宗智山派、浄土宗)から抽出し、月参りの習慣について論じました。

●長島三四郎先生(本学研究員)「沖縄の新宗教における霊能の継承―龍泉を事例にー」
 長島先生は、沖縄の新宗教である「龍泉」を事例に「霊能型」新宗教の教団指導者交代がどのように行われたかを明らかにしました。霊能者ではない指導者を確立することへの難しさは「霊能型」共通の課題であることを指摘し、その対応についても具体例を用い考察しました。

●髙田彩さん(國學院大學日本文化研究所)「武州御嶽山と山麓住民―宿坊運営における女性従業員に注目して―」
 高田さんは、青梅市の御嶽山宿坊運営での女性の役割について継続的に取り組んでいます。今回は、御師家の「おかみ」と女性「アルバイト」についての聞き取り調査から、意味づけの変遷などの考察を行いました。




●大場あやさん(本学院生)「葬儀の簡素化と香典—群馬県・栃木県における「新生活」の定着—」
大場さんは、新生活運動の一環で行っていた香典返しや賄いの廃止をはじめとする葬儀の簡素化・合理化に注目し、群馬県と栃木県を事例に新生活運動とその展開を検討しました。この発表にも多くの聴衆が集まりました。




次回は、パネルディスカッションについて紹介します。


     (文責:髙田彩・髙橋秀慧・大場あや・小泉壽・塚越明香・中塚豊・柳澤最一・大藤椋太)

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