学部・大学院FACULTY TAISHO
宗教学専攻
【宗教学専攻】「宗教と社会」学会第31回学術大会に参加しました
令和5年6月24日(土)、25日(日)に「宗教と社会」学会第31回学術大会が愛知学院大学名城公園キャンパスにて開催されました。
今大会では、3つのテーマセッションと17の個人発表が行われ、本研究室からは修了生3名が発表をしました。
「宗教と社会」学会の学術大会は、発表時間・討論時間が25分ずつと長く、充実した議論に触れることができます。博士課程の院生や、読んだことのある書籍や論文の著者の発表を目の前で聞くことは、とても啓発を受けます。いずれの発表も時間が足りなくなるぐらいに活発な質疑があり、学びを深める事ができました。そして発表者と質問者、司会の方が交わすやり取りに、オンラインとは全く異なる学会の雰囲気を味わいました。
二日目は修了生の発表が続きました。午前中は髙橋秀慧先生が「昭和初期の仏教知識人と郷土教育——『勤王僧』琳瑞の顕彰をめぐって——」を発表されました。山形県河北町出身の幕末の僧・琳瑞の顕彰をめぐる郷土、アカデミズム、宗門それぞれの捉え方から「勤王僧」顕彰における新たな問題提起をなさいました。
午後はテーマセッション「『無縁社会の葬儀と墓』を解剖して再起動する——研究領域「慰霊・葬祭」の縁を新田に紡ぐ試み——」にて、問芝志保先生と大場あや先生が発表されました。
最初に大場先生が「『都市化と葬制』〜死に際する「困難」の戦後史〜」というタイトルで、戦後の社会変動と葬制研究の成果と課題について総論を述べられました。更に「無縁社会」という言葉を取り上げて、その多義性や「孤独死」現象の社会問題化の歴史を分析され、葬制研究との接続を論じられました。
続いて問芝先生が「都市の墓制」というタイトルで、近現代日本墓制研究の今日的到達点としての総論を述べられました。そして関東大震災・東京大空襲という井下清の東京都墓地行政が経験した2度の大量遺体処理によって形成された遺骨観を分析されました。本事例における遺骨のもつ意味や被災死者遺骨の納骨堂のあり方を論じ、日本墓制史への位置づけを試みられました。
学会のために遠方の開催地まで行くのは学生には腰が引けてしまいますが、充実した発表の数々と、書籍や論文でのみ知っていた先生方の存在を直接感じることは本当に刺激になりました。9月の日本宗教学会の大会は東京開催なので、院生の仲間達と参加したいと思います。
なお、今回の大会要旨集は、以下のURLより閲覧できます。関心のある方は、是非ご覧下さい。
個人発表趣意書
https://jasrs2023.hatenablog.com/entry/2023/05/01/005104
テーマセッション趣意書
https://jasrs2023.hatenablog.com/entry/2023/05/01/005249
(文責:小前ひろみ)