学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

比較文化専攻

比較文化としての宗教間対話――「宗教間・文化間対話のためのアブドラ・ビン・アブドゥルアズィーズ国王国際センター」活動開始によせて

はじめに

 今回は、世界の新たな動きと比較文化を関連づけて考えてみましょう。

 私は10年ほど「宗教間対話」の理論的考察に携わってきました。宗教間対話というのは、一言でいうと「異なる宗教の信者たちが集まって対話をすること」です。

おのおのの信者の宗教文化(=世界観・価値観・言語宇宙・認識構造など)が異なるわけですから、宗教間対話の参加者は、対話に参加すると同時に/自動的に、自分の中で「比較文化」をすることになるでしょう。

このほど、「キリスト新聞社」から執筆依頼があったので、その記事を紹介します。後半に書かれている対話のさいの「誤解」「理解困難」は、いうまでもなく、比較文化研究をおこなうさいにも問題となります。また、比較文化研究の素材や比較文化という営為はいたるところにあります。

 

KAICIIDについて

2005年に即位したサウジアラビアのアブドラ国王は、ローマ法王ベネディクト16世との初の会談を実現させました。そのアブドラ国王が提唱した「宗教間・文化間対話のための国際センター」――The King Abdullah Bin Abdulaziz International Centre for Interreligious and Intercultural Dialogue(KAICIID, 宗教間・文化間の対話のためのアブドラ・ビン・アブドゥルアズィーズ国王国際センター)――がウィーンに設立され、今年の1月から本格的に動きだしました。KAICIIDの開設費約1500万ユーロ(約17億円)と、3000万~4500万ユーロとされる、当初3年の運営費はサウジ政府が全額負担します。合計50億円ほどになるわけですから、相当な意気込みを感じざるをえませんね。
 KAICIIDは、サウジアラビア(以下、サウジ)、スペイン、オーストリアの3政府が共同で設置したもので、世界平和実現の種まきを目指しているようです。運営には、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、仏教などの代表が参加しています。カトリックの総本山バチカンも協力し、イスラム教の少数派であるシーア派の代表者や日本の立正佼成会の代表者も要職に名を連ねています。

 

 

新聞記事.gif

 

おわりに

最近は、シリーズのブログ「戦争と文化」の合間に、種々のことを何回か書いてきました。
  来月、玉川大学の脳科学研究所で話をすることになりました。神経生理学者ベンジャミン・リベットによる世界を驚愕させた実験と、彼の思索の背後にあるユダヤ教の関係についてです。場合によっては、ブログで取り上げます。
  また、時期は確定していませんが、今年度提出された修士論文の概要もアップしようと計画しています。お楽しみに!

 

 

星川啓慈(比較文化専攻長)

 

 

【参考資料】

(1)CJC130107=AS0105=E=M=D=#003◎ (『宗教間・文化間対話のための国際センター』始動)。

KAICIIDのホームページ)
  (3)http://en.wikipedia.org/wiki/KAICIID_Dialogue_Centre(Wikipedia)
  (4)http://www.christiantoday.co.jp/article/3594.html(「クリスチャントゥデイ」(キリスト教のネットニュース)の記事)

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