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国際文化コース

「軍事文化論」の石川明人先生(北海道大学)をお招きしての講演会

 

本日1122日、北海道大学の石川明人先生(宗教学・戦争論・軍事文化論)をお招きして、講演をしていただきました。

 

石川先生の戦争や軍事に関する授業は、北海道大学では大人気です。2011年には北海道大学で「最大数の受講者を記録」したそうです。受講者は500人を突破! また、「従軍チャプレン」(従軍牧師/従軍司祭/軍隊専属の聖職者)の研究者としては、わが国の第一人者です。

先生の授業や著書の骨子は、最後に載せたURLで見ることができます(15分程度です)。

今日の講演では、「装飾される武器」「兵器の〈名前〉」「象徴としての武器」「国旗に描かれた武器」「兵器と宗教」「軍事動物」「武器・兵器の概念」「迷彩服を着る聖職者」などの興味深いトッピクについてお話ししていただきました。その後、学生・教員との質疑応答が行なわれました。

 

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石川先生は最近、『戦争は人間的な営みである――戦争文化試論』(並木書房、2012年)という、実に刺激的な本を出版されました。ビックリするような視点から、重要な指摘・提言が至る所でなされています。今回の講演は、その第3章「兵器という魅力的な道具」と関連しています。

この本は、サブタイトルの「戦争文化試論」からも推測できるように、「異文化特別研究Ⅳ」の授業で精読しているM・クレフェルトの『戦争文化論』と深い関係にあります。 

 

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 わが国の大学(防衛大学などを除く)では、「平和」がキーワードになっている授業は少なくありませんが、戦争や軍事そのものについての授業は「極端に少ない」そうです。

しかし、「平和」を語るのに、戦争のことをほとんど知らずに語っても、底の浅い議論にしかならないでしょう。私自身も含めて、戦後の日本人はもう少し戦争のことを知るべきではないでしょうか? 「戦争について知らずして、平和を語ることはできない」といえるでしょう。

来年、私の授業は次のようなものを「予定」しています。まず、実録フィルムを使いながら太平洋戦争全体について学ぶ。その後、国際連盟/国際連合の設立に影響を与えたとされる哲学者、I・カントの『永遠平和のために』(岩波文庫)を購読しながら、理論的に平和について考える。こういう授業です。

いいかえれば、「日本人が深く関った太平洋戦争という具体例を学んで、世界的視野で平和について哲学的に考える」という授業です。ただし、カントの理想のように世界は動いていないのが実情です…。

石川先生がおっしゃるように、戦争が「人間的な営み」であれば、人間が存在し続ける限り、戦争はなくならないのでしょうか?

戦争の形態は時とともに変わります。これまでの戦争のみならず、「新たな形の戦争」を予期/推測しながら、平和について語ったり、戦争反対を唱えたりすることも重要だろうと、感じました。

なお、石川先生の『戦争は人間的な営みである』は、12月1日の「大学院比較文化専攻」のブログ「戦争と文化」で、詳しく紹介/論評します。

 

 

カルチュラルスタディーズ教授・星川啓慈

 

【石川先生の授業のURLは以下の通り。

http://www.youtube.com/watch?v=gL_de198QsE

 

 

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