学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

人間科学科

震災ボランティアの経験を語る② 今後の学びとのつながり

前回に引き続き、南三陸町で行われたボランティア活動に参加した4年生の速水章裕さん(第4日程)のインタビューです。

速水さんは人間科学科に所属しながら、真言宗智山派の僧階取得のために多くの講義を受講してきました。東日本大震災が起こった3月11日も、山のお寺での修行のために京都にいたそうです。東京に戻り、何か少しでも自分にできる協力をしたいと思い、南三陸町のボランティア活動への参加を決めたとのことでした。

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なぜ南三陸町へのボランティア活動に参加しようと思いましたか?

速水「私は、人間科学科に所属しながら、僧階を取得するために様々な講義で仏教についても学んできました。大震災にあって多くの尊い命を失った物故者と、襲いくる津波から命さながら避難した人のためにも、一仏教徒のはしくれとして何か協力したいと思ったからです。」

ボランティア活動の中でもっとも心に残っていることは何ですか?

速水「南三陸町につくまでは、テレビなどで映し出されてきた風景が頭をよぎり、被災者の方々にどのような言葉をかけたらいいのだろうか?と考え込んでいました。しかし、南三陸町では相手のほうから声をかけてくれました。とても緊張しましたが、普通に会話することができました。私が暗くなってもいけないと思い、元気さを心が出ていました。また、心に残っていることとして、芸能人の慰問活動についてです。このような活動について、これまではあまりいいイメージをもっていませんでしたが、ちょうど南三陸町へ慰問されていた歌手の方がステージを行うと、被災者の方々の歓喜でいっぱいとなりました。沈んだ気持ちを元気にさせるステージの力に圧倒されました。その後、私は救援物資を運ぶ作業をしていたのですが、その有名人の方が近づくと、みんな右手の軍手をそっとはずし、握手に備えていました(私もです)。ボランティアの私たちにも元気を与えてくれた慰問活動でありました。」

ボランティアの経験が、今後の大学での学びにどのように影響していますか?

速水「ボランティア活動に参加させていただき、巨大な津波によって壊滅された町を目の当たりにしたとき、これまで仏教学の講義が思い出され、それらの内容を実感することもありました。活動中は、一仏教徒のはしくれとして、何ができるかとの自問する毎日でした。現在私は4年生で卒業論文の執筆を控えています。テーマはまだ漠然としており、詰めている段階ですが、命について執筆したいと考えています。人間科学科への入試面接の際にも私はこの命をテーマとして取り上げました。南三陸町では多くの尊い命が失われました。仏教を学ぶ身でもありますから、仏教、人間科学の両観点から命について考えていきたいと思っています。学びではないでのですが、ボランティアを経験し、サークルの仲間や後輩から、やさしくなったと言われます。南三陸町のボランティアの初日に被災地を案内していただきました。その津波被害の大きさに圧倒されました。その経験から、自分がイライラしたりすることがとても小さなことであるかのように感じるようになりました。自動車の運転時に起こるいらだちも然りです。あるがままを受容し、精一杯生きるということを学んだ気がします。

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