学部・大学院

「学び」と「実践」を通じた人材育成

情報文化デザインコース

ワークショップⅢ(編集)で校正者・柳下恭平氏のゲスト講義を実施

2年生のワークショップⅢ(編集)6回目の講義(5月26日)では、校正者の柳下恭平氏をお招きして、校正・校閲のエッセンスとその仕事としての未来について講義していただいた。 

出版・編集コースの2年生が本格的に校正・校閲の話を聞くのはこれがスタートになる。 

校正者・柳下恭平氏の講義

柳下氏の講義では、校正作業の一端を垣間見せるように、「つけ合わせ」という原稿とゲラを1文字ずつ付き合わせていく作業の実演が行われた。 

白板上でのシミュレーションだったが、そのテンポの速い作業にプロの凄みがにじみ出ていた。 

集中力が要求される作業だが、その肝要は60%程度の集中力を長時間維持することにあるという。 

筆者編集として長年、校正作業をしてきたが、これまで完ぺきといえるほどの校正ができたことはない。後で読むと、何かしらの不具合があるのだ。 

しかし、そうしたことが起こりがちなのは、柳下氏によれば、「ある間違いを見つけた後、集中力が途切れから」とのこと。この集中力の途切れに見落としが発生するのだ。 

長年、校正の取りこぼしに悩んできたが、この指摘には、深く納得させられた。 

 

講義後、学生各自の振り返り記入されたコメントシートには、多くの発見が書かれていた。 

中でも一番大きな発見は、「校正は間違い探し」ではないということ。 

書き手が伝えたい文章を、いかに適切に伝えられるようなものにしていくかということを、手助けするのが校正・校閲だということに、多くの学生が気づいていた。 

 

柳下氏は校正者というだけでなく、校閲会社・鷗来堂の社長でもある。 

今後の校正・校閲という仕事の可能性に関しても語っていただいた。 

校正・校閲の仕事はデジタルの時代になると、さらにそのニーズは広がっていくという。 

企業がネットを利用して独自の情報発信をするのが一般化してきている。 

しかし、そうなると文章上での小さなミスが大きな誤解や炎上という騒動を引き起こす危険が増えていく。その意味で、校正・校閲の仕事は出版を越えて大きく広がる状況が生まれている。 

校正・校閲の仕事の新たな可能性に目覚めさせられる講義でもあった。 

(出版・編集コース教授 大島一夫・記)

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