学部・大学院FACULTY TAISHO
宗学コース
【智山学研究室だより】「文化の探求」智山学生による「常楽会」法要
平成27年4月29日(水)、大正大学礼拝堂において「常楽会(じょうらくえ)」という法要が執り行われました。これは「文化の探究」といわれる授業の一環で行われるものです。
(今回講師を務めていただきました、近藤観隆先生です。)
実際に僧侶がいとなむ儀式である法要を目にし、体験してもらうことを目的としています。また、この授業の特徴として、ただ見るだけではなく、解説を同時にしながら内容や意味を知ってもらい、より深く体験・体感していただける、充実したものとなっております。
今回は智山派に属する三年生の学生の皆さんに法要に出ていただきました。そもそも「常楽会」とは、「涅槃会(ねはんえ)」ともいい、お釈迦さまがご生涯をとじられたことに、追慕(ついぼ)のためにいとなむ法要です。本来ですと法要の日取りは、ご命日であります旧暦の2月15日に執り行われます。
真言宗では「声明(しょうみょう)」という、独特な言いまわし、音階のあるお唱えの仕方をいたします。特にこの法要では、「泣き節(なきぶし)」と言われる独特な音調で唱えられます。つまり悲しみにくれるあまり、お唱え方があたかも泣いているかのように唱えるのです。
では日本においてこの常楽会という法要を誰が作られたのか。それは鎌倉時代初頭、栂尾の高山寺の明恵房高弁(1173-1232)の作と伝えられています。この方は、若かりし日、お釈迦さまを追慕するあまりインドに渡ろうとします。用意万端ととのえ、旅の行く末を願い、春日神社にお参りしたおり、春日明神が人の姿として現れ、旅の多難をさとしました。高弁は失意します。そこで春日明神はその代わりとして、お釈迦さまのご生涯を神苑にて、表現しました。高弁はその情景を文につづり記録したものが現代まで受け継がれているのです。
智山学コース副手 文責 関悠倫