学部・大学院FACULTY TAISHO
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公共政策学科
「観光と公共①」観光公害に思う
観光公害の問題があちこちで噴出している。外国人観光客が槍玉に上がっているが、この問題、昨日今日始まった話ではない。地域によそ者が入ってくることで、ゴミや騒音、地域住民とのトラブルが増え、その対応にかかる労力やコストを地元が負担しなければならないという観光の持つ負の側面は以前から指摘されていた。特に文化の違いや言語面での壁がある外国人観光客の急増によって、殊更にクローズアップされるようになったと感じている。
かつて海外旅行先での迷惑行為は日本人のお家芸だった。キャビンアテンダントに悪態をつく。酒に酔ってホテルで大騒ぎをする。重要な遺跡や建造物に落書きをする・・・。「旅の恥はかきすて」は万国共通なのかもしれない。かといって、お互い様なのだから我慢しましょうという話では全くない。地元にとっては死活問題。観光による経済効果と引き換えにストレスフルな生活を強いられるようでは元も子もない。そもそも地域の文化や生活そのものが今や貴重な観光資源。それが侵されるような事態は看過できない。
でもピンチはチャンス。起きている問題の解決を行政や一部の観光事業者に任せっきりにせず、住民全体が自分事とし、知恵を出し合い、持続可能なまちづくりを目指す良いきっかけと捉えることが大切だ。文化や慣習の違う外国人とどう折り合っていくのか?観光で経済効果を上げることと生活を守ることの接点どう見つけるのか?地域として譲れるところと譲れないところの境界線はどこなのか?かかるコストは誰が負担するのか?しっかりと議論したい。皆さんの地域でも、多様な価値観を持つ住民が共に生きる社会はどうあるべきなのかを観光起点で考えてみてはどうでしょう。