学部・大学院FACULTY TAISHO
哲学・宗教文化コース
台湾調査旅行(2)
第二弾をお届けします。以下のレポートは、自主ゼミで発表してもらった内容です。写真は、立正佼成会で撮らせて頂いたものです。
寺田喜朗
台湾天理教の聞き取り内容
哲学・宗教文化コース 3年
1002290 長島三四郎
日付:9月17日 場所:台湾伝道庁
お話を聞かせてもらったのは、天理教台湾伝道庁の三濱さんである。台湾伝道庁は台湾の天理教の信者にとっての伝道拠点であり、拠り所でもある。ちょうど昨日(9月16日)は天理教の青年会の行事があった。
「外国に行くと信仰を聞かれるが、日本人だけが曖昧な返事をする。外国でははっきり答えるのが普通。」
「天理教は日本の宗教ではなく、世界の宗教である。」
床にある線は同時通訳のためのヘッドフォンの無線。布教する対象は台湾の方々であり、日本人は少数である。今の台湾の人は日本語が話せなくて当然だが、日本に対して親近感を持ってくれていることはありがたいことである。例え言葉が違っても、天理教の教えは通じると考えている。
教祖(「おやさま」と呼ばれている)は中山みきであり、親神の教えを中山みきが信者に伝えている。41歳の時に神がかりに会い、それを天理教では「立教」と呼んでいる。今年は立教175年であり、台湾では民国103年という数え方になる。50年かけて教えを信者に説き聞かせた。教祖が映し身を隠されて130年たたれるが、それは病が理由ではなく、年齢が理由でもない。90歳の教祖は常人よりも遥かに強い体を持っていた。
現在の奈良県天理市で当時お百姓の家に生まれ、中山家に嫁ぎ、中山みきとなった。当時は学問の場である寺子屋は男性中心で、教祖は9~11歳の間しか行っていない。その後、大和庄屋敷村で親神の教えを授かる。その後、筆を取り1711首の歌を残す(おふでさき)。教えは平仮名で書かれている。天理教の教えの第一声は「このたび、世界一列を助けるために天下った」である。教祖は江戸のこの時代から、「世界」の観念を持っており、これは普通ではありえないことだった。人は何のために、どこから来たのかが解れば助けあう事ができる。それが教祖の教えである。私たちは台湾の人々のための力になりたい。
信者は天理市を「おや里」と呼んでいて、そこへ行くのを「おや里へ帰る」と言い、またそれを「おぢばがえり」と言う。「おぢば」は魂の故郷であり、「魂の故郷へようこそお帰り」と表現している。このお帰りという表現は他の宗教でも真似されている(台湾の慈済会)。神道十三派の1つとされているが、明治時代に生き残るにはそうするしかなかった。しかし、教えの本質は変わらない。お勤めの際には鳴り物を使う(拍子木、太鼓、摺り鉦、お琴、三味線、鼓弓、鼓、篠笛の9つ)。
この体は人の魂がお借りしている(かしもの)。親神が最初に人を作ったのは、人々の陽気ぐらし(天理教の教え)を実践しているのを見ながら共に楽しみたいからである。人はみな兄弟であり、助け合う事が陽気ぐらしに繋がる。みな神の子であり、子がいつか親になる。「世界一列かわいいわが子」
親の気持ち(神の教え)が解らないと争い、憎しみに繋がる。争いは神の教えに則していない。親の理想は、親の言う事を聞く子供に育ってくれること。そうすれば争いも無くなる。
台湾では過去、国民党によって36年間に及ぶ戒厳令があり、日本の宗教も弾圧されたが、大戦が終わり20年後、天理教が最初に台湾での布教活動をはじめ、今に至る。台北の中国文化大学とは姉妹校の関係である。天理台湾学会は今年で23回目で、毎年多くの学者が集まる。現在、天理教には3000以上の用木(よふぼく)がいる。教えの翻訳は翻訳検討委員会がしているが、まだ終わっておらず、より教祖の言葉に近づけるためにこれからも翻訳に取り組んでいく。韓国の天理教がアルゼンチン(白人の国)で天理教を布教し、さらに二千数百キロ離れた所でもしている。これを天理教では海外布教ではなく、世界布教と呼ぶ。まだ少ないが様々な所で布教している(コンゴ、インド、ネパールなど)。
私が大正大学に入って3年目にして、この台湾旅行は、初めての長期に及ぶ校外学習だと思います。鎌倉での一泊二日とは違い、台湾という海外で、初めての事ばかりの中での学習したことは、私にとって忘れることのできないことばかりでした。新宗教の教団で信者の方に、初めてお話を聞かせてもらいましたが、自分がいかに宗教というものをイメージで語っていたのかが良くわかりました。データで見た教団の仰々しいイメージは、5つの教団をまわって違う事が解りました。信者の方々とのお話の中で、新宗教の持つ親しみやすさと、多くの人に受け入れてもらうための工夫があることを知ることができました。
教えの中にある工夫や柔軟かつ強固な信仰が新宗教の発展した理由の一つであるという事を身を持って知ることができました。客観的な意見や資料も大切ですが、主体的に取り組んでいる当事者たちの見方も知らなければ、宗教を学ぶ上では不十分であるという事もわかり、自分にとって意義のある旅となり、とてもうれしく思っています。今回、同行させてもらい、本当にありがとうございました。
真如苑台湾
カルチュラルスタディーズ・コース 1年
1202160 柴田瞳
日付:平成24年9月14日 場所:真如苑台湾支部
9月14日金曜日、午前10時より約1時間の間、真如苑台湾支部においてお話を伺った。お話を聞かせて下さったのは石井さんで、昔、中国語を学ぶために渡台した際に、真如苑の事務職員として就職し、現在に至った方である。
真如苑では、2つの部屋を案内していただいた。最初に、本尊のある部屋である。本尊は大きな涅槃像である。そこにおいて、まず真如苑台湾支部についてのご説明を受けた。
現在の支部は台北市中山區にあるが、8年前までは故宮博物院の近辺に所在し、敷地面積は現在の約10分の1ほどであった。本尊の大きさも支部の移転に伴って大きくなっている。だが、「(面積が広い分実際の信者との距離は開いてしまっている為か)小さく見える」と寺田先生が指摘したところ、石井さんは貴重な意見だと受け止めてくださっていた。
続いて、どのような活動を行っているかということについてお聞きした。主な活動内容は、お祈り・接心・護摩等。接心は3分ほどの取り次ぎで、気づきを与えるものである。台湾においては接心・お祈りにおいて椅子を使っているが、昔から活動している人には抵抗があるようだ。また、台湾は様々なイベントの実験的役割を担っており、台湾において成功したものは他国でも行い、そうでなければやらない、という図式であるらしい。その例としては、「み像参拝」が挙げられる。約一ヶ月間、本部から像を借りて行った。全体を通してのべ約二十万人が参拝したそうだ。
また、祭壇を構成するものについてのご説明を受けた。蝋燭について、まず飾られていたのは白い蝋燭であった。台湾における一般的な蝋燭は赤なのだが、真如苑では通常、白い蝋燭が使われている。正月と済摂護摩法要の年二回のみ、台湾の習慣に合わせて赤い絵蝋燭が用いられる。このように、「郷に入れば郷に従う」の精神で、台湾の色に染まっていく姿勢で活動している。しかしそこにおいても、取捨選択は行っている。例として、煙をふんだんに炊く行為は、台湾では一般的であるが真如苑は受け入れていない。台湾にも、多量の煙が人体に悪影響を及ぼすことを懸念する人もいる。
続いて、護摩堂を案内していただいた。護摩堂は本尊のある部屋の隣に位置し、豪華な祭壇が飾られていた。手前にはメディテーションのためのディスプレイが置かれ、継主や本尊などの映像が流されていた。正面には正方形の箱で構成されたオブジェが置かれ、祭壇は不動像、涅槃像、伊藤家族四人の像や木製五色の花などで構成されている。部屋の両端には十二天の屏風がおかれていた。この十二天を常にそろえているのは台湾だけであるという。
台湾人全体の傾向として、外に発信していける人が多い。真如苑の信者も、アメリカ、中国、日本などにおいて、真如の教えを広めているという。教団としても、守ることよりも、海外・外へと広げていくことを重視する。昨年も、法鼓山と初めて交流をもったらしく、今後もこういった展開を予定しているそうだ。ただし、台湾内においては、台湾の一般市民に受け入れられることを目指している。
信者数は、現在約8000人。2006年の時点と大きく変わらない。すじ親は100人以上。霊能力者は60名、うち8割は現地で修業した人である。また、護摩を焚くことを許されている人は台湾にはいない。
なお、使用言語は基本的に北京語だが、現地では現地の言語を使用するようにしている。
この度、五泊に及ぶ台湾旅行におきまして、大変貴重な体験をさせていただきました。
今回訪問した教団に関しては、いずれも本で読んだ程度の知識しかありませんでしたが、この機会に教団の内部や信仰の形を見ることができました。
教団訪問を通して私が得たものは、実際に信者の方とお話することで、教団のイメージを「団体」ではなく「人」という視点から捉えられたことです。何故、その教団に入ったのか。その教団に入ってどのような変化があったのか。今、その教団で何を得て、逆に何を負担に感じているのか等、本では知りえない情報を、よりリアルな情報として知ることができたことを、とても嬉しく思います。
私は、カルチュラルスタディーズコースの学生ではありますが、今回の旅行で得たものを、今後の学業に活かしていこうと思います。ご同行させていただき、ありがとうございました。
2012年台湾訪問における日系新宗教教団調査報告
カルチュラルスタディーズコース1年 1202160 柴田瞳
真如苑(9月14日) 立正佼成会(9月15日) 生長の家(9月15日) 天理教(9月17日) 創価学会(9月18日)
◆真如苑
創始者:伊藤真乗、代表者:伊藤真聰
信者数:約100万人(日本)、約8000人(台湾)
崇拝対象:久遠成就釈迦牟尼如来
教典:大般涅槃経
聖地:真如苑総本山(東京都立川市)、本部所在地:東京都立川市
会誌:『内外時報』(月刊)『歓喜世界』(季刊)
■施設
本部…現在は台北市中山區にあるが、八年前までは故宮博物院近辺だった
本尊の大きさ…本部の拡大に伴い、本尊も大きくなった(しかしその分距離も生じてしまっている)
祭壇の蝋燭…普段は白い蝋燭だが、11月(済摂護摩法要)と正月の年二回、赤い絵蝋燭を用いる
護摩堂…もう一つの祈りの場。不動像のほか、伊藤家族四人の像や、上品下品を救う十二天の屏風(十二全て揃っているのは台湾だけ)、赤、緑、白、黒、黄の花(木製)等が飾られている
不動…護摩堂には青い不動像がある。真如の教えの原点。不動像は基本的には台湾には無く、日本時代のものが残っている
■活動のかたち
言語…北京語が基本だが、地方では台湾語を使うことも多い
主な活動内容…お祈り、接心、護摩など
接心…1回3分くらい。気づきを与えてくれる。最近は接心において椅子を使用することに関して問題になっているが、真如苑としては別に問題としていない
台湾が先行して行う様々なイベント…台湾でのイベント開催は実験的な役割を果たし、最初に台湾で開催したのちに、それが成功ならば他国でも開催するが、失敗ならばやらない 例:み像参拝
み像参拝…日本にある大切な像をレンタルしてくる。信徒対象だったが、約一ヶ月間にのべ20万人が参拝した
護摩…台湾に護摩を焚ける人はいない(日本にも何人かしかいない)、年に一度焚かれる
メディテーション…護摩堂において、継主の映像で祈りのノウハウを教えている
■教団の構成
教団内の霊能者…霊能者が60名、うち日本国籍を持っているのは2割、日本人は1割程度、8割は台湾で修行をし、現地の言葉で喋る、日本語しか喋れない人は1人だけ
すじおやの人数…すじおやは100人以上、うち青年は50人
■教団の傾向
言語の問題…現地になじむことを目的にしているため、現地では現地の言語を使う
台湾真如苑の体制…一般の人にも見て欲しい、わかってほしい、現地にとけこむことを目指す。しかし、煙をふんだんに焚く行為は健康に支障を来すため、受け入れていない
台湾人信徒の傾向…外へ発信していく、一人で来る人はほとんどいない、家族で訪れる
今後の課題…国際化と若返りが必要
■訪問した感想
会館が、大きくて広い。そして綺麗。
台湾人は積極的であること、台湾と日本の色の感覚の違いなどをお聞きできたのが良かった。
み像参拝のコマーシャルとしてバスの広告を使用したと聞いて、面白いと思った。
◆立正佼成会
創始者:庭野日敬、代表者:庭野日鑛
信者数:約133万世帯(日本)、約500世帯(台湾)
崇拝対象:久遠実成大恩教主釈迦牟尼世尊
教典:法華三部経
聖地:東京都杉並区和田の本部、本部所在地:東京都杉並区
会誌:『佼成新聞』(週刊)、『佼成』『躍進』(月刊)、『ダーマワールド』(英文隔月刊誌)等
■施設
本部…台北市中世區にあるビルのワンフロアを借りて使用している
■活動のかたち
言語…台湾語を使用するのはお年寄が多い
お題目(南無妙法蓮華経)…北京語と台湾語どちらでも読まれている(北京語で読む方が多い)
北京語:なんもーみゃおふぁーふぇんふぁーちん
台湾語:なむもーみゃおぱーれんふぁんてぃ
三部経…北京語のみ。日にちによって読む三部経を変える
社会活動…夢ポッケなどの支援活動→ノルマがあることに対して、「仕事になってきている」と語る
先祖供養…一般的に台湾は、女性方の先祖供養はしない。立正佼成会は、総戒名をあつめて祀る
■教団の構成
教会長…現在の教会長は、2008年から。台湾の色と日本の色とは異なることから、「国のひとがやることに大きな意義がある」と語る。
男女比…訪問時は女性のみ、日曜日には男性も訪れるが、基本女性の方が多い
■教団の傾向
教義…わかりやすい。毎日の生活で教えがわかる
体制…現地の色に染まっている。
経典の扱い…法華経は曲げずに、台湾の色で進めていきたい。元を大切に、大きく変えたいとは思っていない
利他行…自分が幸せになったら、その分他人のために利他行をする(他教団との違い)→100%利他宗教
台湾の仏教団体…利益を目的とした拝み宗教が多いが、立正佼成会は違う
現証…少なくなってきている。利益による助けより、自分で解決することを目指す
他の宗教…他の宗教が駄目という決まりは無い。お廟に行く人も多い
今後の方向性…会員を増やすことより、法をしっかり伝えることを重視
■訪問した感想
少しこじんまりした、集会所のような印象を受けた。アットホーム。
お年を召した女性が多かったが、その中に日本人の若い主婦がいたのが印象的だった。
信者約8人とこちら6人で椅子を丸く並べて座った。全員の顔が見える形。
あちらの人は半分以上が日本語を喋れなかったので、通訳してもらった。
中には台湾語しか知らない人もいた為、通訳が飛び交っていて新鮮だった。
◆生長の家
創始者:谷口雅春、代表者:谷口清超(2008年没、現在は谷口雅宣)
信者数:約180万人(日本)、約5200人(台湾)
崇拝対象:生命の実相
教典:『生命の実相』『真理』『天使の言葉』ほか
聖地:生長の家総本山(長崎県西彼杵郡西彼町喰場郷1212)、本部所在地:東京都渋谷区
会誌:『聖使命』『白鳩』『光の泉』『理想世界』(以上、月刊)等
■施設
本部…台北市錦州街のビルのワンフロアを使用、セミナー会場のような印象
国際本部…現在は原宿にあるが、秋に山梨県の山の中に移転予定
台湾生長の家…20周年
■活動のかたち
勉強会…月刊誌をテキストに使う。誌友会、輪読会、研修会、講習会などがある
布教活動…テレビ電話に移行している。ブラジルにおいてはテレビCMを見た人が電話で悩みを相談してきて、その場で解決できる体制を持っている
平和の追求…武力ではなく、信仰による平和を追求する
■教団の構成
信徒…日本国外においては、ブラジル人が一番多い(ブラジル国内でも断トツの大きさ)
年代…台湾では高齢化が進んでいる
聖使命会員…増加率が高いのは台中
新規加入者の傾向…病気の人は少ない、家庭問題(夫婦の浮気問題、子供の非行問題)を抱えた人が来ることが多い。三十代から五十代の壮年層が多い
■教団の傾向
生長の「家」…色々な宗教の「家」という考え方もできる。
他宗教について…どんな宗教をやってもよい、むしろこれまでの宗教を大切にするべきだというスタンス。葬式も、家の宗教のやり方で行う
「唯神実相」…神は完全なるものであり、その完全なものの力は、すべての人の心に宿るという考え
「唯心所現」…心によって現象が集まってくる。運命は心で、自分自身で作るという考え
「万教帰一」…あらゆる宗教の真髄はひとつという考え
環境保護活動…自然を大切にするという姿勢を重要視している
生活…人間中心主義を批判し、肉食を減らすことを推奨している。こういった活動は、宗教心のあるものがまず行うべきと語る
経営…本の発行数は6500冊ほど。教団を維持していくためには、会費を出す人を増やす必要がある
言語…現在中国語は国際的に広がりを見せていることから、台湾は簡体字ではないが、中国語を用いて世界中に発信していくつもりである
■訪問した感想
張月華さんという、実際に日本統治時代を経験した人から話を聞けて嬉しかった。
褒める教育をしていく、ということに感銘を受けた。
寺田先生の論文で紹介されている王恵美さんにお会いできなかったのは残念だった。
◆天理教
創始者:中山みき、代表者:中山善司
信者数:3000以上の用木(台湾)
崇拝対象:親神天理王命
経典:天理教の三原典『おふでさき』『みかぐらうた』『おさしづ』
本部所在地:奈良県天理市
会誌:『天理時報』(週刊)、『みちのもと』(月刊)等
■施設
本部(伝道庁)…規模は一般的な公民館レベル。石の塀で囲まれていて独特の雰囲気があった
台湾伝道庁…二年後11月15日は、台湾伝道庁80周年
■活動のかたち
台湾天理教…日本時代に布教されたのがはじまり。戒厳令施行のなか、他の日系新宗教にさきがけ、20年後には活動を認められる
おつとめ…なりものを使った儀式を行う。(琴、三味線、胡弓-女、鼓、篠笛-男、ひょうしん、ちゃんぽん、太鼓、すりがねの計9つ)
陽気ぐらし…いろいろな場面で、人様を喜ばせるように。おやがみが、陽気ぐらしを見てともに楽しみたいからとされている
■教団の構成
会員…日本人も少しはいるが、基本は台湾人で構成されている
用木…天理の信仰者の資格を有する者。おぢば(奈良県天理市)で10回修行することが必要
■教団の傾向
対象…こちらの天理教は、日本人向けではなく台湾人向け。天理教自体が、日本人のための宗教ではないというスタンスのため、「日本の宗教を信仰している」という感覚は無い
教え…天理教の教えは、中山みきがおやがみの教えを伝えたもの。よって、この教えはみきの教えではなくおやがみの教えである
布教…海外布教という名称ではなく世界布教。ブラジル、コンゴ、ネパール、インド、アルゼンチン、韓国などにも進出している
■訪問した感想
全体的に、天理教・中山みきの概要や台湾の歴史についての解説が多かった。
祈る場所では、鏡や鳴り物などが置いてあった。日本の神道のイメージに近かったが、本人たちはそういった枠組みでは考えていないようだった。
用木以外の信徒がどれくらいいるのかを聞きのがしてしまったのが残念だった。
◆創価学会
創始者:牧口常三郎、代表者:秋谷栄之助会長、青木亨代表役員
信者数:約827万世帯(日本)、約17万人(台湾)
崇拝対象:日蓮大聖人建立の本門戒壇の大御本尊
経典:日蓮大聖人御書
本部所在地:東京都新宿区
会誌:『聖教新聞』(日刊)、『大白蓮華』(月刊)、『グラフSGI』(月刊)
■施設
至善文化會館…故宮博物院の近く。比較的高いビルの形。一階は展示会場になっていて、文化的価値のあるものを展示している。四階にはコンサート会場があり、そこで発表などを行う
■活動のかたち
台湾創価学会…50周年
文化活動…台湾の文化に貢献。「宗教の宣伝ではなく本当の文化活動をやっている」
新聞…会員になったらとる。週に二回発行。イベントや講義などのお知らせ。一世帯一部で、三万部発行している
会合…島内3000もの会場で信仰体験談をおこなっている(歩いていける距離に会場を)
座談会…活動の中核。毎月おこなっている。戦後の弾圧中も行っていた
イベント…宗教色をほぼ無くしたイベントも多く開催。台湾の全体の人口の5分の1である410万人が参加したものもあった
任用試験…試験内容は三大秘法。教団において教える立場になるために受ける試験。だいたい受かるが、落ちることもある
■教団の構成
会員…五年前は10万人だったが、現在は17万人
国際化…現在192か国にひろがっている
■教団の傾向
政府からの評価…現在は政府より「優良団体」と呼ばれている
他宗教…寛容。キリスト教徒もいる。拝拝も大事だと語る
年齢層…低年齢層をターゲットとしたイベントを多数開催しているためか、教団の若返りに成功している
■訪問した感想
とにかく施設が立派だと思った。窓から故宮博物院が見えるのが印象的だった。
一階の展示会場はちょうど展示物の入れ替えで見られなくて残念だった。
最初にまず四階のコンサート会場で映像を見たが、その映像のクオリティ、また信者数の多さに圧倒された。
創価学会はコミュニティのためにあるというイメージはあったが、話を聞いていて、まさしくそれに近いと思った。
全体を通して、まるで会社のようだと思った。
【参考文献】
新宗教研究所 2006 『図解 新宗教ガイド』九天社
Webサイト
真如苑公式サイト(2012年10月14日閲覧)
立正佼成会(2012年10月14日閲覧)
宗教法人 生長の家 公式サイト(2012年10月14日閲覧)
http://www.jp.seicho-no-ie.org/
天理教ホームページ(2012年10月14日閲覧)
http://www.tenrikyo.or.jp/jpn/
創価学会公式サイト(2012年10月14日閲覧)
http://www.sokanet.jp/index.html
創始者及び代表者、崇拝対象、経典・教典、聖地、会誌は、新宗教ガイドを参考にした。
日本の信者数は各教団の公式HPから、台湾の信者数は訪問時にお聞きした内容を採用した。