学部・大学院FACULTY TAISHO
宗教学専攻
修士論文はどのように書かれるのか② ―個人指導編―
修士論文はどのようにして書かれるのか。今回は、現在修士課程2年生の髙田彩が個人指導のプロセスの一例を紹介します。
※「修士論文はどのようにして書かれるのか」第一弾はこちら。
(1) アポを取る前に
個人指導を受ける前に、まずは現在までの研究成果をまとめます。準備としては次のようなステップになります。①先行研究の整理や研究の意義が説明できるようにしておく、②フィールドを持っている場合は、そのフィールドがどのような性格を持つ場所なのか統計資料などからデータを収集し特徴を把握する、③そして、すでに調査を行っている場合は、調査で収集した情報をまとめる。これらを整理して、修士論文の目次案やこれまでの調査内容をまとめたレジュメを作成します。
(2) アポを取る
次に、指導教授とアポイントメントをとります。個人指導のお願いは、メールを通して行うことがほとんどです。その際、どこまで研究が進んでいるのかを簡単に説明し、相談内容を具体的に記述して送ります。また、作成したレジュメを個人指導の前日までに指導教授にメールで送っておくと指導がスムーズに進んでなお良いでしょう。
(3) 指導を受ける
個人指導の当日はレジュメや資料等を持参し、現在の研究成果の報告とそれに対する相談をしたあと、今後の方針について話し合います。院生は、レジュメや資料を見てもらって指導教授から質疑やアドバイスをいただきます。このような指導教授と院生の話し合いのなかで、これから研究を進める上で確認しなければならないことや、参考にすべき文献などが浮かび上がってきます。
指導教授との話し合いを通して、次第に論文のタイトルや目次の内容も見直され、全体の構成や各章でどのようなことをどのくらい書くのかという細かい点を詰めていきます。それに加えて最終的にはどのような結論に持っていくのかを決めていきます。
また、院生の今後の研究のビジョンと、指導教授が思う今後の研究ビジョンの共有とすり合わせが行われ、論文を完成させるためにどのくらいの作業が必要で、どのくらいの時間がかかるのかという現実的な問題が指摘されます。それらを加味したうえで、論文を完成させるために、今できることはなにかという確認も行われます。
以上のように、指導教授による個人指導を経て、今後の研究の方向性がより明確になり、解決しなければならない事柄がより焦点化されていきます。そのことで、具体的なタスクの確立が実感できるため、院生にとって非常に貴重な機会となります。
(4) 個人指導で意識していること
私(髙田)は個人指導で、特に今後の調査の方法や進め方についての具体的なアドバイスをいただいています。それにより、調査方法の修正や論文を書く際に参考にすべき文献を再確認しています。
私が初めて個人指導を受けた際は、一人で研究や調査を進めるうちに狭くなっていた視野が、指導教授との議論によって広げられたような気がしました。このように、細かな点まで話し合うことで、一人では気付かなかった点やこれからの課題が見つかり、自身の研究を見直すことができるのが個人指導の最大の利点だと思って、私は定期的に相談しています。
以上、個人指導のプロセスの一例を紹介しましたが、このようなアプローチ以外にも、気軽に先生方に相談することができます。
論文を読んでもらいながら寺田喜朗先生から指導を受けています
時にはホワイトボードに論点をまとめてもらいます
(文責・髙田彩)